久喜市・加須市 全世帯にハザードマップ配布
熱海で甚大な土石流災害が起こった。地球温暖化の影響でここ数年、記録的な集中豪雨が頻繁に発生し、列島各地が激甚に見舞われている。これを重視した国は5月、水害時の早期非難に道を拓く改正災害対策基本法を施工したが、久喜市と加須市は同法改正を踏まえて広域避難のあり方や発令基準等を抜本的に見直した。6月には市民に「自分の命は自ら守って」の気持ちを強く促すハザードマップを全世帯に発行するなど、到来する集中豪雨・台風シーズンに備えた。
久喜・加須市民は一昨年10月13日の深夜に襲来した台風19号による利根川あわや決壊かの悪夢が未だ色濃く残っている。幸い1人の犠牲者も出さずに済んだが、両市とも大混乱となり、避難情報の周知のあり方、発令のタイミング、避難所の確保と運営方法、避難移動の手段と経路などの課題が浮かび上がった。6月議会では、久喜、加須市とも水害対策や広域避難訓練に関する質問が相次いだ。
答弁に立った久喜市の渡辺文勝・市民部長、加須市の福田浩一・環境安全部長は5月に国が施工した改正災害対策基本法の概要を説明。そのポイントは、(1)従来あった避難勧告を全廃し、避難指示に一本化。(2)災害の恐れありの警戒レベル3が発令されたら高齢者は非難する。(3)災害の恐れが高い警戒レベル4が発令されたら危険な場所から全員避難することになったとした。
早期非難の目安を示す [久喜]
久喜市の渡辺文勝・市民部長は台風19号の教訓を踏まえて「今後の発令のタイミングについては河川の水位の上昇傾向、上流地点の雨の降り方、降水量予測などを総合的に勘案判断して早い段階で出すことを考えている」と発言。その発令目安として「鉄道の計画運休情報」を挙げた。具体的には計画運休の可能性が出た段階では避難所となる学校の休校、施設の休館を検討するとした。計画運休が決定された段階では学校など避難施設の開放の日時を周知し、警戒レベル3で高齢者等避難を発令し、栗橋地区や鷲宮地区で長期間浸水する恐れがある区域にバスを配車し、移動手段のない高齢者等の希望者を順次、久喜総合運動公園や菖蒲文化会館に移送する―――などとした。
8月28日に避難訓練 [加須]
加須市の福田浩一・環境安全部長は誰一人残さない災害対策の実現のためにも8月28日に「総合水害広域訓練」を実施するとした。訓練は「広域避難訓練」と「水害時避難場所開設及び運営訓練」の2本立てで実施するとしている。広域訓練の方は利根川等が決壊すれば地域全体が水没する北川辺地区や、浸水予想が最大で10mや5mなど出ている大利根地区、大越地区、樋遣川地区の住民を対象に実施。午前中の発令後、配車したバスや自家用車で6Km~15Km先の指定の避難所まで避難することにしている。一方避難場所開設運営訓練は市内全域を対象としており、午前中の発令後、予め決められた避難場所で開設が円滑にできるか等を検証する。
利根川氾濫時の浸水範囲など示す
水害から命を守る手立てとして久喜市がまとめた「洪水避難決断ブック」も加須市が編纂した「水害時の避難行動マップ」も利根川が氾濫した場合の浸水の範囲と深さ、避難情報発令の基準、避難場所と経路などを図解入りで分かりやすく説明しているのが特徴のひとつだ。また水害から自分を、家族を、地域を守るために、自ら情報を入手し自らの判断で、早めに避難することを呼び掛けているのも共通している。
参考:久喜市防災ハザードマップ
https://www.city.kuki.lg.jp/kurashi/bosai/map/kuki-hazardmapall.html
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