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不動産契約に必要な基礎知識を徹底解説!

「ハンコを持ってきてください」と言われて、どれを持っていけば正解か、迷ったことはありませんか?

不動産の売買契約やローン契約、各種手続きにおいて頻繁に登場するのが「印鑑」「印影」「印章」という言葉です。
しかし、この3つの用語は日常的に曖昧に使われがちで、意味の違いがきちんと理解されていないケースが少なくありません。

特に不動産契約のような高額で重要な契約においては、これらの用語を正しく理解し、場面ごとに適切に対応できることが、トラブル防止や信頼獲得のうえでも大切になります。

本記事では、この3つの言葉の違いを明確に解説し、実際の契約の現場でどのように扱われているのかも踏まえて、実務に役立つ知識としてまとめていきます。

「印章」「印影」「印鑑」——この3つの用語、正しく使えていますか?

まずは全体像を整理しよう

似たように見えるこの3つの言葉ですが、実はそれぞれ指している対象がまったく異なります

用語意味例え・イメージ
印章ハンコそのもの。物理的な“道具”朱肉をつけて押す「印」
印影印章を紙に押したときに現れる“跡”書類に残る赤いマーク
印鑑市区町村や銀行などに登録された“印影”登録された実印/銀行印の写し

今回は、契約などの際に良く使われる言葉を解説します。
契約のご案内をする際に「印鑑を持ってきてください」とご案内をしてしまうと、それは間違いです。

まず、「ハンコを持ってきてください」という意味で使うのは「印章」(いんしょう)になります。「印章」=「ハンコ」です。
この印章(ハンコ)を押して紙に映る文字や紋様などを「印影」(いんえい)と言います。

そして「印鑑」とは、印影の中でも実印や銀行印など、市区町村や銀行に届け出られているハンコの印影を言います。
とは言っても、今では辞書にも「印鑑=ハンコのこと」と記載されていたりするので、目くじら立てるほどのことではありませんが、プロとしては正しい言葉を使いたいですね。
ちなみに、印鑑登録できるハンコの大きさは一般的に8mm~25mmとなっています。

大き過ぎても小さ過ぎてもダメということですね。

不動産購入をきっかけに実印登録した、という方も多いようです。

「印章」はハンコそのもの——日常で使う場面と注意点

「印章」とは“物理的なハンコ”

「印章(いんしょう)」とは、ズバリ、ハンコ本体=物理的な道具を指します。
木、金属、プラスチックなどの素材で作られ、印面(いんめん)には名前や屋号、ロゴなどが彫られているものです。

実は日本の法制度上、「印鑑登録」に使用されるハンコのことも正式には印章と呼びます
つまり、普段「印鑑を押す」と言っている行為は、「印章を使って紙に印影を残す」というのが正確な表現です。


印章は「種類」によって用途が異なる

印章にはいくつかの種類があります。使う場面ごとに適切な印章を用意しておく必要があります。

印章の種類主な用途登録の有無
実印不動産契約・ローン契約など法的効力が強い書類市区町村で印鑑登録が必要
銀行印銀行口座の開設・届出銀行に届け出
認印日常のちょっとした確認や回覧書類登録不要

「印影」は紙に押した跡——契約書での取り扱いポイント

「印影」とは何か?

「印影(いんえい)」とは、印章(ハンコ)を紙に押印した際に、紙面に残る朱肉の跡=押し跡のことを指します。
簡単に言えば、「押された結果として残るカタチ」が印影です。

この印影が、印鑑証明書に記録されている印影と一致することにより、「確かにその人が押したもの」として証明されるのです。

契約書に求められるのは「鮮明で正確な印影」

不動産契約書やローン契約書など、法的拘束力の強い書類では、「印影の状態」が非常に重要視されます。

  • 印影がかすれて読めない
  • 朱肉がにじんで判読できない
  • 文字が一部欠けている

このような状態では、契約書が受理されなかったり、印鑑証明との照合ができず手続きがストップする恐れがあります。

きれいに押すためには以下の点に注意しましょう:

  • 朱肉は適量を使用し、ムラなく付ける
  • 押すときは紙をしっかり支えて垂直に力をかける
  • 押印後はインクが乾くまでこすらない

印影の取り扱いで気をつけるべきこと

1. コピーやスキャンではダメな場面がある

契約書を電子化する流れが進む一方で、紙の原本に押された“真正な印影”が必要な場面も残っています
特に、不動産取引や融資関連では、今でも「実印+印影+印鑑証明書の原本提出」が求められることがあります。

コピーされた印影では「誰が押したか」の証明力がなくなるため、正式な手続きには使えません。

2. 偽造・複製のリスクに注意

印影は、その人の意志表示や同意の証拠として使われますが、逆に言えば偽造・盗用されれば重大なトラブルにもなり得る情報です。

  • 印影の画像をネット上に公開しない
  • 捺印済みの書類は厳重に保管する
  • 第三者が容易に複製できない印章(特注など)を使う

これらの対策をとることで、不正利用を未然に防ぐことができます。

「印影」は印章を機能させる“証拠のカタチ”

言い換えれば、印章は“道具”、印影は“証拠”。
どれだけ立派な実印でも、紙面に正しく押されなければ、証拠としての価値が発生しないという点は、不動産契約などの実務で特に重要です。

「印鑑」とは登録された印影のこと——実印との違いは?

「印鑑」は“登録された印影”のこと

一般的には「印鑑=ハンコ」という意味で使われることが多いですが、行政用語や法律上の定義では、印鑑とは“登録された印影”を指します。
つまり、「実印として登録されたハンコ(=印章)を使って押された印影」が印鑑です。

この印鑑が、市区町村や金融機関などの公的機関に登録されているからこそ、その印影が法的な効力を持つ証明手段となるのです。

実印・銀行印・認印の違いを整理しよう

印鑑には、使われる場面によっていくつかの種類があります。以下のように区別されます:

印鑑の種類登録先主な用途法的効力
実印市区町村不動産契約・ローン契約・遺産相続など◎ 非常に強い
銀行印金融機関銀行口座の開設・変更・出金手続きなど◯ 中程度
認印なし宅配の受け取り・社内文書・軽微な同意など△ 弱い/状況による

不動産契約における印鑑の取り扱いと注意点

実印が必要になる代表的な場面とは?

不動産取引では、ほとんどの場面で「実印+印鑑証明書」が必要です。
具体的には以下のようなケースがあります:

  • 不動産売買契約書への押印
  • 住宅ローン契約書や抵当権設定契約書への押印
  • 登記関係書類(所有権移転登記、抵当権設定登記)
  • 本人確認書類としての印鑑証明書の提出

これらはいずれも法的拘束力が強く、契約無効のリスクを伴う重要書類のため、印影の真正性が求められます。

実印を使う際の3つの注意点

1. 押印する位置と順序に注意

契約書類では、以下の点に注意して押印しましょう。

  • 署名欄の右側または氏名の真下に押すのが基本
  • 誤って別ページに押さない(無効になる可能性あり)
  • 余白に押す際は、「契印」や「割印」などの意味を確認してから行う

2. 印鑑証明書の有効期限を確認する

多くの金融機関や司法書士は、「発行から3ヶ月以内」の印鑑証明書しか受け付けません。
契約日に有効期限が切れていた場合、契約が延期される、または最悪の場合やり直しになる可能性もあります。

3. 本人でないと契約できない場合もある

たとえ実印を持っていたとしても、「委任状」や「本人確認書類」が不備だと、代理人による契約は無効になることがあります。
本人が出席できない場合は、事前に司法書士や不動産会社と調整をしっかり行いましょう。

電子契約の普及で印鑑不要になるのか?

近年は不動産取引にも電子契約サービス(例:クラウドサイン、GMOサインなど)が導入されはじめています。
これにより、紙の書類や実印が不要となるケースも増えつつありますが、まだ完全ではありません。

契約の種類電子化の現状実印の必要性
売買契約書電子化可能(ただし紙が主流)条件次第で不要にできる場合あり
登記関係書類紙の原本が必須(オンライン申請でも添付必要)必須
住宅ローン契約銀行によって異なる多くの場合は実印+印鑑証明が必要

印鑑・印影・印章の違いを正しく理解し、信頼される契約を

この記事では、「印鑑」「印影」「印章」という3つの用語について、それぞれの正確な意味と不動産契約における実務的な扱いを詳しく解説しました。

おさらい:3つの用語の違い

用語定義よくある誤解
印章ハンコそのもの(物理的な道具)「印鑑」と混同されがち
印影印章を紙に押した“跡”書類に押すだけと思われがち
印鑑市区町村や銀行に登録された“印影”ハンコ全般を指すと思われがち

不動産契約で必要なのは、「知識」と「段取り」

不動産の売買契約や住宅ローン契約など、金額も責任も大きな場面では、以下のような点が問われます:

  • 実印と印鑑証明書のセットでの提出
  • 押印の正確性(鮮明な印影)
  • 有効期限内の証明書かどうか
  • 正しい位置への押印
  • 第三者が押していないかの確認(本人性)

これらの細かな確認を怠ると、契約が無効になったり、手続きが長引いたりするリスクもあります。

不動産取引の第一歩は、基本用語の理解から

特に不動産業界では、まだまだ紙の書類と実印文化が根強く残っています。
「言葉の定義くらい大したことじゃない」と思うかもしれませんが、よくわからないままにせず、契約担当者や司法書士に確認を取りながら進めることが、安心で納得のいく取引につながる第一歩です。

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