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新築か中古か、それが悩みの分かれ道

「新築と中古住宅、どちらを選ぶべきか?」
これは多くの住宅購入者が直面する永遠のテーマです。最近では、「新築は価格が上がりすぎて手が出ない」「中古の方がコスパが良さそう」といった声も多く、不動産購入の現場では中古住宅への関心が高まっています。

しかし、価格だけで判断すると、あとから「こんな税金がかかるとは知らなかった」「ローン控除が受けられなかった」と後悔するケースも少なくありません。

本記事では、新築と中古住宅の「税金」「控除」「保証」といった見落としがちな違いを、実例を交えて徹底的に比較します。
住宅購入を成功させるために、正しい知識を身につけましょう。

住宅選びの二択「新築 or 中古」──まず何を比較すべきか?

住宅購入は、多くの人にとって「人生最大の買い物」です。
失敗しないためには、価格や見た目の印象だけでなく、「税金・保証・控除・立地」といった総合的な視点で比較検討することが重要です。

なぜ「中古を選ぶ人」が増えているのか?市場背景から見る傾向

近年、首都圏や地方都市を問わず、中古住宅の購入比率が上昇しています。
その背景には次のような要因があります:

  • 新築住宅価格の上昇:建築資材・人件費の高騰により、ここ数年で新築の平均価格は大きく上がりました。
  • 好立地の中古物件の流通:駅近や商業エリアなど、便利な場所にはすでに住宅が建っており、新築よりも中古の方が立地が良いケースが増えています。
  • リノベーション文化の普及:「中古を買って自分好みに直す」という価値観が若い世代にも浸透してきたことも影響しています。

このように、「価格」「立地」「ライフスタイル志向」といった要因から、中古住宅にメリットを感じる人が増えているのです。

価格だけじゃない、見逃されがちな比較ポイントとは?

「中古の方が安いから」という理由だけで決めると、あとから費用がかさむこともあります。以下のような項目も確認しておくことが重要です。

比較ポイント新築住宅中古住宅
消費税建物に10%課税個人売主なら非課税
固定資産税軽減措置あり(3〜5年)評価額が下がっているため安め
住宅ローン控除最大13年の控除個人売主だと対象外の場合あり
瑕疵保証法律で10年間の保証義務あり原則なし(保険加入でカバー可能)
登録免許税優遇あり(保存登記)一般税率(移転登記)

このように、税金や保証の違いが実質的なコストに大きく影響するため、しっかりとした比較が必要なのです。

購入時にかかる税金の違いをわかりやすく比較

住宅を購入する際に発生する税金は、意外と多岐にわたります。新築と中古では税制上の扱いが異なるため、税負担に差が生じるケースがあります。ここでは、「不動産取得税」「登録免許税」「消費税」の違いについて具体的に解説します。

不動産取得税の仕組みと軽減措置の違い

不動産取得税とは、不動産(土地・建物)を取得した際に都道府県に納める税金です。新築・中古を問わず課税されますが、「建物の築年数」や「床面積」などにより軽減措置の適用条件が異なるため注意が必要です。

基本税率

  • 不動産取得税の標準税率は 固定資産税評価額 × 4%
  • 土地部分については一部控除あり

新築住宅の軽減措置

  • 建物評価額から 1,200万円の控除
  • 土地部分は、45,000円または固定資産税の2倍相当額のいずれか高い額を控除

【例】建物評価額が1,800万円の場合
→ 税額 =(1,800万円 − 1,200万円)× 3% = 18万円

中古住宅の軽減措置

中古住宅でも以下の条件を満たせば控除対象になります:

  • 昭和57年以降に建築された(耐震基準適合)
  • 個人の自己居住用であること
  • 床面積が50㎡〜240㎡以内であること

控除額は築年数や構造によって異なりますが、新築に比べて控除が小さいため、築古物件では税額が割高になるケースもあります

登録免許税の税率比較(所有権保存と移転の違い

登録免許税とは、不動産の登記(権利の保存・移転)を行う際に国に納める税金です。

新築と中古では、適用される登記の種類と税率が異なります。

内容新築住宅(保存登記)中古住宅(移転登記)
所有権保存登記評価額 × 0.15%(軽減)
所有権移転登記(個人→個人)評価額 × 2.0%(軽減後1.5%)
抵当権設定登記借入額 × 0.1%(共通)借入額 × 0.1%(共通)

特に注意したいのは中古物件の個人売主との取引。この場合、「移転登記」に該当し、税率が高くなりがちです。

消費税の有無は「売主の属性」で変わる

住宅購入時の「消費税の有無」についても、新築と中古では根本的に異なる点があります。ポイントは、「売主が誰か」です。

新築住宅(売主:不動産会社)

  • 土地:非課税
  • 建物:課税対象(10%)

例)建物価格が2,000万円の場合 → 消費税は200万円

中古住宅(売主:個人)

  • 土地:非課税
  • 建物:非課税(課税業者でないため)

このため、中古住宅を個人から購入する場合は建物に消費税がかからず、初期費用を大きく抑えることが可能です。

ただし、不動産会社など課税事業者から中古住宅を買う場合には、新築同様に建物価格に対して10%の消費税が課税されます。

【補足】消費税がかからない方が得とは限らない?

確かに「個人から中古住宅を買えば消費税がかからない」というメリットはありますが、一方でその物件は住宅ローン控除の対象外になるケースが多い点には注意が必要です(次章で詳述)。

購入後にかかる税金と負担軽減策の違い

住宅購入後にも定期的に発生する税金があります。特に「固定資産税」と「都市計画税」は、長期的な住居コストに影響を与える重要な要素です。新築と中古では課税評価や軽減措置が異なるため、将来の支出見込みを把握しておくことが重要です。

固定資産税の計算と新築の軽減措置

固定資産税は、市町村が課税する地方税で、原則として毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。

基本の税率と算出方法

  • 税額 = 固定資産税評価額 × 1.4%(標準税率)

新築住宅の軽減措置

新築住宅には固定資産税の軽減措置があります。
具体的には、以下のような条件を満たすと「建物部分」に対して3年間(長期優良住宅なら5年間)、税額が1/2に軽減されます。

【軽減要件】

  • 専用住宅であること
  • 床面積が50㎡〜280㎡以内(共同住宅は40㎡以上)
  • 住宅が新築であること

※土地については軽減措置の適用対象外ですが、一般住宅地の評価減制度(200㎡まで小規模住宅用地として1/6評価)が適用されます。

中古住宅の評価額と課税の関係

一方、中古住宅には新築時の軽減措置は適用されません。ただし、建物の評価額そのものが経年劣化により下がっているため、結果的に固定資産税が安くなるケースが多いです。

例)築15年の木造住宅の場合、評価額が新築時の3割〜4割程度になることもあります。

ただし、以下のような点には注意が必要です:

  • リフォームを行った場合は評価額が再評価され増加する可能性がある
  • 「築浅の中古住宅」は新築とほぼ変わらない評価額が設定されることもある

都市計画税の注意点

都市計画税は、都市計画区域内にある土地や建物に課税される地方税です。すべての市区町村で課税されるわけではありませんが、対象地域では固定資産税と同様に毎年納付が必要です。

  • 税率:最大0.3%(市区町村によって異なる)
  • 固定資産税と合わせて納付通知書が届く

この税は新築・中古に関係なく課税されますが、「土地の用途地域」や「建ぺい率・容積率」によって変動するため、購入前に確認が必要です。

住宅ローン控除の違いとトータルの節税額に与える影響

住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用して住宅を購入した場合に所得税から一定額が控除される制度です。

新築と中古では、対象となる条件や控除期間・控除額に違いがあります。

住宅ローン控除が使える条件の違い

新築住宅では以下の条件を満たせば基本的に控除対象となります:

  • 床面積が50㎡以上(合計所得2,000万円以下なら40㎡以上)
  • 10年以上のローン契約
  • 合法に建築された住宅であること(建築確認済証など)

中古住宅の場合、さらに以下の条件が加わります:

  • 築20年以内(木造など)または築25年以内(耐火建築物)
     ※もしくは耐震基準適合証明書の取得が必要
  • 不動産会社などの課税業者からの購入であること(個人売主の場合は原則対象外)

「個人売主の中古」と「業者売主の中古」の税制差

見逃されがちですが、売主が「個人」か「不動産会社」かでローン控除の対象かどうかが大きく変わります。

売主消費税住宅ローン控除備考
個人非課税原則対象外控除要件を満たさない
不動産会社課税(10%)対象登記簿上の要件を満たせば適用可能

「中古住宅は消費税がかからないからお得」と思われがちですが、住宅ローン控除を加味すると、事業者からの購入の方が実質的に有利になるケースもあります。

控除期間と戻ってくる税額の試算比較

【例】年収500万円、借入金3,000万円、控除率1%、金利1%、35年ローンと仮定

種別控除期間控除総額(概算)
新築住宅13年間約260万円
中古住宅(事業者売主)10年間約210万円
中古住宅(個人売主)対象外0円

このように、「購入時の消費税額」と「控除による節税額」を総合的に比較することで、本当のコストを把握することができます。

保証制度とアフターサービスの違い

住宅購入後のトラブルや不具合にどう備えるかも、新築と中古を比較するうえで非常に重要です。保証制度の有無や範囲は、将来的な修繕コストや安心感に直結します。

新築住宅の「10年瑕疵担保責任」とは?

新築住宅には「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」によって、次のような瑕疵担保責任が義務付けられています。

対象となる瑕疵(かし)

  • 構造耐力上主要な部分(基礎・柱・梁など)
  • 雨水の浸入を防止する部分(屋根・外壁など)

保証期間

  • 引き渡しから10年間、売主(通常は不動産会社や建築会社)に修補義務あり
  • 保証履行のため、売主は保険への加入または供託が義務

この制度により、購入者は引き渡し後に万が一重大な欠陥が見つかっても、無償で補修を受けられるという安心感を得られます。

中古住宅は保証なし?──実際にはケースバイケース

中古住宅には原則として法定の瑕疵担保責任はありません。
特に個人売主の場合、「現状有姿(ありのまま)」で引き渡されることが一般的であり、引き渡し後に不具合が発覚しても基本的に自己責任となります。

■ 不動産会社が売主の場合

  • 宅建業法に基づき、最低2年間の瑕疵担保責任を負うことが義務
  • 対象は主に「隠れた瑕疵」(契約時に買主が知り得なかった重大な不具合)

■ 個人売主の場合

  • 特約で保証が完全に免除されることも多い
  • 一部の例外を除き、原則として売主に責任を問えない

インスペクション(建物状況調査)のすすめ

保証がない中古住宅では、購入前に第三者による建物検査(インスペクション)を受けることも選択肢です。

  • 費用目安:5〜7万円程度
  • 内容:基礎や屋根、配管、シロアリなどの目視点検
  • 実施者:公的資格を持つ住宅診断士(既存住宅状況調査技術者)

インスペクションを行うことで、購入後の突発的な修繕リスクを事前に把握でき、安心して判断できます。

「既存住宅売買瑕疵保険」という選択肢

インスペクションを実施し、その基準をクリアした物件は、既存住宅売買瑕疵保険に加入することが可能です。これにより、以下のような保証が得られます。

  • 対象:構造耐力・雨漏りなど
  • 保険期間:1〜5年
  • 保険金限度額:500〜1,000万円程度

この保険に加入することで、中古住宅でも“安心して買える”条件が整うため、売買トラブルの抑止にもつながります。

事例で比較:新築 vs 中古住宅の総支出シミュレーション

税制や保証などをふまえた「トータルコスト」は、購入判断において極めて重要です。ここでは、実際の価格例に基づいて、新築と中古のケースを比較してみましょう。

【ケース1】新築住宅(不動産会社から購入)

  • 土地価格:1,000万円(非課税)
  • 建物価格:1,500万円(消費税10%で150万円)
  • 登録免許税(保存登記):約4万円
  • 不動産取得税:軽減後 約15万円
  • 住宅ローン控除:13年間で約260万円還付
  • 瑕疵担保責任:10年間付き
  • 固定資産税:3年間は1/2軽減

→初期費用はやや高めでも、減税や保証の手厚さにより中長期的には安心。とくに控除・補償が購入決断を後押し。

【ケース2】中古住宅(個人売主から購入)

  • 土地価格:1,000万円(非課税)
  • 建物価格:1,500万円(非課税)
  • 登録免許税(移転登記):約30万円
  • 不動産取得税:軽減後 約20万円
  • 住宅ローン控除:対象外(非課税物件)
  • 瑕疵担保責任:なし(インスペクション必須)
  • 固定資産税:評価額が低く、軽減なしでも安価

→表面的な価格は安いが、控除・保証の面で差がつきやすい。インスペクションや保険費用も加味すべき。

【結論】「価格差+税制+保証」の3点セットで比較を

  • 新築住宅:価格は高いが、税制優遇・保証が手厚く、ローン控除も魅力
  • 中古住宅:価格は抑えられるが、条件次第で税負担や補償リスクが発生

単に「新築 or 中古」ではなく、“自分にとって何を優先するか”を考えることが大切です。

立地・資産価値の視点から見る「新築と中古」の違い

住宅購入において、もうひとつ見逃せない重要なポイントが「立地」と「資産価値」です。価格や税金ばかりに目が行きがちですが、将来的な資産価値の維持や生活の利便性に大きく関わる要素でもあります。

中古住宅が好立地に多い理由

都市部や駅周辺など、利便性の高いエリアにはすでに建物が立ち並んでおり、新たに住宅を建てる土地が限られています。そのため、以下のような傾向があります:

  • 駅から徒歩5分圏内 → 多くは中古住宅またはマンション
  • 文教エリア・市街地中心部 → 新築の供給が少ない
  • 商業施設や公共インフラへのアクセス → 中古住宅の方が優位

つまり、利便性の高い場所で探すなら中古住宅が現実的な選択肢となることが多いのです。

資産価値が落ちにくい中古物件の見極め方

中古住宅の価値は築年数と共に下がるイメージがありますが、「立地」「管理状況」「耐震性」などを見極めれば、価値が維持されやすい物件を選ぶことも可能です。

■ 資産価値の維持に寄与する要素:

  • 交通利便性(駅近・主要路線)
  • 周辺の生活インフラ(学校・病院・スーパー)
  • 修繕履歴・インスペクション済物件
  • 耐震補強済・新耐震基準適合証明書の有無

これらを満たす中古住宅は、新築に劣らず将来的な売却時にも有利になる可能性があります。

資産価値と税金の相関

実は「資産価値が高い=税金が高い」とは一概には言えません。固定資産税は、実勢価格(売買価格)ではなく「固定資産税評価額」に基づくため、築古の好立地中古は税負担が比較的軽いまま資産価値を享受できるケースもあります。

【まとめ】新築と中古住宅、それぞれのメリット・デメリットを正しく知る

ここまで「新築 vs 中古」の違いを、税制・保証・控除・立地・資産価値の観点から比較してきました。あらためて、整理してみましょう。

項目新築住宅中古住宅(個人売主)
初期価格高め(消費税あり)安価(消費税なし)
固定資産税軽減措置あり(3〜5年)評価額が低く税額も低い
不動産取得税軽減措置あり条件次第で適用あり
住宅ローン控除13年間・全額対象原則対象外(事業者なら対象)
保証法定10年保証原則なし(インスペクション推奨)
立地郊外や新規造成地が中心駅近や利便性の高い場所が多い
資産価値年数と共に下がりやすい条件次第で維持可能

住宅購入で後悔しないためのチェックポイント

⑴ 初期費用だけでなく、長期的な支出(税金・修繕費)を把握しているか
⑵ 住宅ローン控除や不動産取得税の軽減措置を最大限活用できる条件か
⑶ 中古なら保証の有無・インスペクションの有無を確認したか
⑷ 将来の資産価値も含めて納得できる立地条件か

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「新築 or 中古」という二者択一ではなく、あなた自身のライフプラン、資金計画、価値観に照らした最適解を見つけることが重要です。安心・納得の住宅購入の参考に、お役立ていただければ幸いです。

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