日本の不動産市場は、バブルといってさしつかえないほどの熱気に包まれています。
東京都心を中心に不動産の価格が高騰し、新築・中古問わずマンション価格は一般家庭の手の届かない水準に達しつつあります。
この現象は、一見するとバブル的ともいえる様相を呈していますが、過去のバブルと同じ轍を踏んでいるのか、それとも新たな経済環境の中で形を変えた“新時代のバブル”なのでしょうか?
この記事では、現在の不動産バブルの特徴と背景を詳しく解説し、中国など他国の事例とも比較しながら、今後の展望とリスク、そして私たちが取るべき対策について考察していきます。

不動産バブルとは
不動産バブルとは、不動産価格が実態経済とかけ離れて急騰し続ける現象を指します。
過去もっとも有名なのは、1980年代後半~1990年の「昭和バブル」でしょう。直近では、2008年9月のリーマンショック前の大都市におけるミニバブルが有名です。
どちらのバブルも、低金利政策による余剰資金が不動産市場に流れ込み、地価が異常に高騰したことによって起こりました。
この時期には、土地神話と呼ばれる、「土地の値段は絶対に下がらない」といった過信も社会に広がりました。
一方、現在の令和時代の「不動産バブル」は、好景気によるものではなく、供給不足や資材高騰、海外資金の流入など複合的な要因によるものとされており、昭和バブルとは性質が大きく異なっています。
今回の不動産バブルは、2012年より続く異次元の金融緩和政策が引き金となりなお現在も続いているため、最長であり最大のバブルともいわれています。
現在の不動産市場の状況
不動産価格の現状
2025年現在、日本の不動産市場は、驚くほどの価格高騰が続いています。
特に東京都心部や交通の利便性が高いエリアでは、新築マンションの価格がかつてない水準に達しており、一般のサラリーマン層には手が届かない状態です。
実際、マンション価格が新築時の2倍、3倍にまで跳ね上がるケースも珍しくありません。
一方で、地方都市でも、タワーマンションなど富裕層をターゲットとした物件の価格は急上昇しています。これにより、「人気の出る売れ筋物件」と「なかなか売れない物件」との二極化がますます進んでいます。
また、興味深い現象として、新築物件と中古物件の価格逆転が全国的に広がっています。
東京23区では、平均的な中古マンションの希望売り出し価格がここ数年で約20%以上も上昇し、70m²換算で7030万円に達しました。特に、中央区、渋谷区、新宿区、千代田区、港区、文京区といった都心6区では、70m²規模でも1億円を超える中古マンションが今や珍しくありません。
この背景には、新築物件の供給不足と、購入希望者が高倍率の抽選に外れてしまうケースが影響しています。
新築購入を断念した人々の多くは、その地域で中古物件を探すため、結果として中古市場における価格が押し上げられます。これにより、新築よりも高い価格で中古物件が取引される「逆転現象」が起きているのです。
この動きは、日本の住宅市場が欧米型(中古住宅市場が主役となるスタイル)に近づきつつあることを示唆しています。
さらに、海外投資家による中古マンションへの購買意欲も市場を後押ししています。
将来の売却益を期待して、高価格でも中古物件を購入する海外勢の存在が、日本の中古市場の価格水準をさらに押し上げる要因となっています。
しかし、すべての物件が恩恵を受けるわけではありません。
外国人投資家の関心が集まらないエリアや物件は、今後「負け組物件」として資産価値が下落していくリスクも抱えています。
人口減少が進む日本においては、「どのエリアの、どの物件を選ぶか」がますます重要になってきているのです。
マンション価格の推移
マンション価格は、2000年代半ば以降、年々上昇を続けています。
東京圏を中心に新築マンションの価格は史上最高値を更新しており、地方都市でも中心部では高額物件の需要が高まっています。
供給数が減少していることもあり、販売価格を抑えるために居住面積を小さくするケースも増えています。
しかし、価格はすでに天井に達しているとの指摘もあり、今後は価格調整が起こる可能性が高いと指摘する専門家も少なくありません。
一方で、デフレの時代が終わりを迎え人件費や材料費は今後も下がる見通しがないことから、マンションの価格は下がらないであろうという見方も依然として強く主張されています。
低金利が続く日本の金融市場
日本では、欧米に比べて低金利政策が長期間維持されてきました。
特に2012年以降、日銀が行った異次元の金融緩和により不動産市場にマネーが大量に流れ込み、住宅ローン金利も非常に低い水準を保っています。
一般的に、低金利は不動産価格を下支えする動きとなり不動産の価格は上がり、金利が高くなれば不動産価格は下がります。
日本のマイナス金利政策は、2024年に解除されたものの、金利の本格的な上昇は見られず、結果として住宅価格の下支え要因となっているのが現状です。
不動産バブル崩壊の兆候
価格の安定と崩壊のリスク
現在の不動産市場には、バブル崩壊のリスクも指摘されています。
給与水準が上がらない中で住宅価格だけが上昇し続ければ、購入者の購買力を超え、取引が停滞するリスクが高まります。
特に東京23区や都心部のマンションは、一般庶民には手の届かない価格で高止まりになっており、今後もこの価格が維持されるのかどうか、先行きは不透明です。
一方、地方では価格の上昇が見られない地域も多く、市場の二極化・三極化が進んでいます。
供給過剰による影響
新築マンションの供給は、都市部でも一部地域では需要を超える供給が発生しており、売れ残り物件が増えている状況といえます。
完成後2~3年経っても売れないマンションもあり、供給過剰の兆候が見られます。
特に、立地が悪い、または需要に合わない物件は売れ残る傾向が強く、今後供給過剰が市場に影響を与え、価格下落の引き金になる可能性も指摘されていることは否めません。
中国の不動産バブルの比較
日本と中国の不動産市場
日本の昭和バブル経済期では、不動産価格が急騰し、最終的にはバブル崩壊とともに長期にわたる経済低迷(いわゆる「失われた30年」)を招きました。
現在の活況な中国の不動産バブルは、かつての日本の昭和バブル期と似たような構造が見られるとささやかれています。
中国政府はこれまで、不動産価格を高水準に維持するため、販売価格の統制や住宅ローン規制などの政策を行ってきました。
しかし近年、価格統制が相次いで廃止され、デベロッパーの資金繰り悪化や地方財政の弱体化が顕在化しており、バブル崩壊の兆候が強まっています。
日本との違いは、中国では土地が国有であり、地方政府の財源確保が土地売却に依存している点です。このため、政府の関与がより直接的かつ強力であり、バブルの影響が地方財政や社会全体に及ぶリスクがより大きくなっています。
中国の事例と教訓
中国では、価格統制の廃止とともに不動産市場が本格的な下落局面に突入しました。
デベロッパーの破綻、地方財政収入の減少、そして中古住宅市場の下落加速などが連鎖的に発生しており、もはや単なる景気循環では収まらない深刻な構造問題となっています。
この事例や日本の過去のバブルから得られる教訓は、国家主導で不動産市場を操作し続けることには限界があり、最終的には市場メカニズムを無視できなくなるという点です。
また、不動産への過剰依存は、経済全体を大きなリスクにさらすことになるため、多角的な経済構造の必要性が改めて浮き彫りになったと言えるでしょう。
不動産バブルに対する対策
不動産のリスク管理
これからの住宅購入や不動産投資においては、「マイホームは一生に一度の買い物」という考えを鵜呑みにしない必要があります。
不動産は金融商品と同様に一資産として扱い、その所有期間は10年から15年を目途に見直すことがおすすめです。
この間に市場動向を注視し、災害リスクや資産価値の変動を見越して売却や住み替えを計画することが、資産のリスク管理の基本となります。
特に地震リスクが高い日本では、長期保有による損失リスクが大きくなるため、柔軟な対応が求められると言ってよいでしょう。
また、住宅ローン減税や税制の変動も常にチェックし、有利な制度が活用できるタイミングでの売買判断も重要です。
政府の政策と規制
不動産市場の過熱を抑えるためには、金融緩和の出口戦略と、税制面での適切な調整が不可欠となります。
今後、政府は高騰する都市部の住宅価格を抑えるため、住宅ローン減税制度の見直し、固定資産税制の改正、不動産取引の透明化促進などの政策強化を進める可能性が考えられるでしょう。
さらに、外国人による不動産購入の規制強化についても議論が進むことが予想されます。
中国をはじめ世界各国のマーケット動向についても、頭に入れておくことがおすすめです。
まとめ
不動産バブルは、単なる価格の高騰現象ではなく、その背後にある経済政策、国際的な資金の動き、社会構造の変化など複雑な要因が絡み合って発生します。
現在の日本におけるバブルは、過去のバブルとは異なる性質を持ちつつも、価格の高騰とその持続性への不安が共通しています。
いつバブルが崩壊するのか、また崩壊しないのか、それは誰にも予想ができません。
今後、人口減少や金利政策、供給と需要のバランス、さらには国際情勢の変化が市場に与える影響を注意深く見ていく必要があります。
バブルの本質を見極め、過去の教訓を活かし不動産リスクをコントロールすることが、不動産資産を活かし将来の経済安定につながる重要な鍵となるでしょう。
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