昭和20年の本多静六博士

令和7年(2025)は戦後80年になります。久喜市出身の本多静六林学博士には、大戦末期の昭和20年(1945)4月25日に著した「八十翁の克乏生活」という小文があり、同年5月15日の『実業之日本』誌に掲載されました。

博士は戦時下の都会の生活を離れて静岡県伊東に疎開し、酒やタバコ、肉や菓子を一切購入しない、食糧自給の生活に入ります。芝刈りをしたり腐葉土を肥料として集めたりしながら、読書と著述の日々を過ごします。そのような中、博士は「人間の生きてゐると云いふことは働らいてゐることであり、働らくことは~すこしも苦痛でなく、却て面白い道楽」であるとし、ついには「晴耕雨読から昼耕夜読の生活に飛躍した」と述べています。しかし配給米では足りなかったことから、野菜をたくさん栽培し食糧不足を克服することができたので、乏しさに耐える耐乏生活から乏しさを克服する克乏生活に改めたとあります。

なお、この小文の結びには、「~目下人生指導原理篇の執筆中で希くは大戦後動揺し易き人心の安住に資したいと折角努力中である〜」という興味深い一文があります。検閲があった言論統制下では、戦争勝利が前提でした。このため、大戦後が勝利ならば歓喜することはあっても動揺と書くのは不自然です。しかし、博士は戦後に人心が動揺することになると予想しています。これは博士の戦争に対する真の想いが込められた一文ではないでしょうか。そして終戦後の昭和21年(1946)1月には、克乏生活を提唱する『克乏の食生活』が出版されます。この本は、国立国会図書館デジタルコレクションで全文を閲覧することができます。また、「八十翁の克乏生活」は、久喜市立図書館久喜市デジタルアーカイブの本多静六関係資料で全文をご覧になれます。戦後80年にあたり、博士の想いと平和の尊さを語り合ってはいかがでしょうか。

出典

出典・リンク:広報くき 令和7年9月号 P2-3

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