7月10日下早見地区に完成 盛大に落成式

高齢社会の中、病院から退院後、通常の介護施設では受け入れ困難な高齢者をどうケアしていくか、また介護疲れとなる家族をどう解放するかが大きな社会問題になっているが、これに対応する施設「看護小規模多機能型居宅介護施設」が注目されてきた。設置基準が厳しいため、まだあまり普及していないが、久喜市初の同施設「ケアステーションよすが」が下早見地区に完成、7月10日、梅田修一・久喜市長も出席して盛大な落成式が行われ、関係者一同で社会的意義の高い施設の船出を祝った。
一般介護施設で受入れ拒否の人ら支援へ
完成した「看護小規模多機能型居宅介護施設ケアステーションよすが」は久喜市下早見524-1にある。敷地面積993㎡で建物は軽量鉄骨造り2階建で延床面積517㎡。運営は久喜市内で幅広く福祉事業を展開する(株)縁=よすが(井上順子社長)が担う。
「看護小規模多機能型居宅介護」とは、訪問看護、訪問介護、デイサービス、ショートステイを同じ施設のスタッフが提供するサービスのこと。専任のケアマネジャーが本人及び家族と相談して計画を作成する。ここ「ケアステーションよすが」の特徴は一般の介護施設では受け入れ困難な人とその家族を受け入れることだ。具体的には①医療依存度の高い人②退院直後で病状が不安定な人③在宅での看取りを希望する人③家族に対するレスパイトケア(介護疲れの家族を解放させ、一時小休止させる)などの医療支援を在宅専門医師と連携して自宅医療を支える。
利用条件は「要介護1~5の認定を受けている人」「久喜市在住の人」で、「担当するケアマネジャーは(株)縁のケアマネが行う。また他市町村の方は「要相談」としている。利用料金は「介護度に応じた月額定額制」を採用。その他の費用として宿泊費3500円、食費は朝食450円、昼食600円、おやつ100円、夕食600円と定めた。きめ細かなサービス提供がモットーで、利用定員は「登録人数29人、1日当たりの通い最大18人、1日当たりの泊まり最大9人」となっている。
記事:農時新聞2022年7月29日号
写真提供:農時新聞
社会的意義高い事業と評価
式典に梅田久喜市長ら100名出席(過去記事)
「看護小規模多機能型居宅介護施設ケアステーションよすが」完成のきっかけは久喜市が作った。
高齢社会の中でこの種の施設の必要性を痛感した市が2019年(令和元年)11月1日~29日まで事業者を募集。これに(株)縁が応募し、一次審査、二次審査を経て、2020年1月28日、市の諮問機関「介護保険運営協議会」で設置の承認を得た。久喜市福祉部介護保険課によると、(株)縁は国の制度「事業再構築補助金」を活用したほか、市も755万1000円の開設準備金を交付した。
7月10日に行われた「ケアステーションよすが」落成式には梅田修一・久喜市長や三ツ林裕巳・衆議院議員ら関係者約100名が参加。この中で梅田市長は久喜市で65歳以上の人口が30%を超えた現実を踏まえ「市民の皆様にとって安心できる施設が出来た」と歓迎した。また施設の建設を請け負った藤田田・フジハウジング社長は農地を転用して施設を開発しただけに、建設工事に着手するまで埼玉県や市との調整、申請手続きに2年間の苦労があったことを紹介しながら「無事に今日落成式を迎えられたのは嬉しい」と社会的に意義ある仕事に携わった喜びを語っていた。
なお埼玉県高齢福祉課によると県内40市23町村のうち「看護小規模多機能型居宅介護施設」があるのは今年6月30日現在、18市26施設だけ。このうち市内に2~3カ所の施設を有する自治体は、さいたま市、川越市、川口市、上尾市、草加市、三郷市の6市で計14施設となっていた。
記事:農時新聞2022年7月29日号
写真提供:農時新聞
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