異世界不動産ネタ物件プロジェクトとは
異世界を舞台に「架空の物件と物語」を楽しむ連載企画です。
異世界モノ風のストーリーに併せて、実際の物件ページを作っちゃいました!(リンクは最後に)

お部屋探しの気分転換に楽しんでいただくネタ企画ですが、箸休めとしてお楽しみください♪

お部屋探しは是非久喜賃貸ナビをご活用ください♪

「もう遅いんだ」

会議室で俺が配管図を指した瞬間、上司はそう言った。

指摘事項を書いた資料を机の端に寄せ、淡々と続ける。

「……今さら止められない」

数日後、俺のデスクは片付けられた。机の場所には別の誰かの資料が積まれ、俺の名前は消えていた。

俺は、追放された。

電話が鳴る。懐かしい声に、少しだけ息が止まる。——リュウ。昔、同じ現場を回っていた男だ。今は実家の不動産屋を継いだらしい。

『おい、追放されたらしいな』
「噂回るの、早いな」
『そりゃ回る。お前の派遣先、俺の村だからな』

声が少しだけ真面目になる。

『でさ。こっちくるなら昔みたいに、いっしょにやらねえか』
「いきなりなんだよ」
『悪いな、ちょっと困っててよ』

リュウがいるのは俺が行くことになっていた辺境の村だった。そこで不動産屋を継いだはいいが、村そのものが沈みかけているらしい。空き家が増え、住民が減り、修繕しても追いつかないようだ。

「なんで追いつかない?」
『臭い、湿気、排水。問題が多すぎる。……スライムだ』

スライム。その単語だけで、嫌な予感がする。給排水管泣かせの大本命だ。

『俺が預かってるアパートがある。古い二階建てだ。そこをみてもらいたい。』

昔みたいに、か…。俺は少し黙ってから言った。

「分かった。ついたらすぐ寄る」
『よし。決まりだ。……待ってるぜ』

通話が切れたあと、俺は工具箱を確かめた。
追放?上等だ。ここからが始まりだ。


辺境の村は静かだった。ずいぶん活気がなくなっている。
空き家の窓が曇り、軒下に黒い筋。玄関を開ける前から、下水とカビと古い油が混じった匂いがする。

村の入口でリュウが待っていた。少し痩せたか。けど目は死んでない。

「よお。来たか」
「……しんどそうな顔だな」
「しんどいぜ。村がじわじわ死んでる」

リュウは歩きながら言った。
「どこも水回りがやられて悪臭がひどい。排水が詰まる。カビる。腐る。んで、空く」

二階建ての古い共同住宅。外観は普通だ。
でも廊下に入った瞬間、空気が重い。湿気が逃げていない。

101号室。
扉を開けた瞬間、鼻が反応した。湿気と、排水の戻り臭。押し入れの奥のカビ。換気が死んでいる。
キッチンの排水口の縁に、青い塊が張りついていた。

「……いるな」
「だろ。退治してもまた出る。下手にやると家が傷む。だからみんな放って、負けた」

俺は深呼吸をひとつして、道具箱を開けた。
スライムを追い回すのは意味がない。
“居場所”を決めて、そこに閉じ込める。

排水の途中に小さな透明槽を挟む。網と炭と受け皿。点検できる“溜まり場”を作る。
床下の隙間を塞ぎ、点検口を増やし、換気の抜け道を作って室内を乾かす。
やることは地味だ。けど、こういう地味さが家を救う。

三日で空気が変わった。
廊下が滑りにくい。窓の結露跡が薄い。押し入れのカビ臭が引く。

変化を待つ間、俺は建物の中を散策し、変異型のスライムを発見していた。

なぜかボイラー室は空気が乾いていた。石が熱を覚えている。
その隅に、赤橙の小さな塊がいた。青い個体とは明らかに違う。

「……変異したのか」

俺は蓄熱箱を作って、そいつの居場所にした。
部屋をほんのり暖める。湯が冷めにくい。洗濯が乾く。これは使える。

さらに分電盤の裏には、黄色いスライムが張りついていた。
触ると指が微かに痺れる。俺は安全回路を組んで箱にいれた。電気として活用できそうだ。

俺はリュウに言った。
「これ、増やせれば商売になるぞ」
リュウが笑った。
「はは。お前はやっぱり現場が似合ってるよ」

玄関横の板に、リュウがさらっと書いた。

「スライム荘」

ふざけた名前ほど、人は覚える。そのとき俺にも“商売の形”が見えたのかもしれない。

——数か月後。リュウと俺は、スライム荘を「貸せる形」まで仕上げた。

俺は変異したスライムを“住宅設備”へと落とし込むことに成功した。
汚れを吸うスライムは、排水に噛ませる浄化カートリッジに、蓄熱するスライムは床下に置く蓄熱ユニットに、蓄電するスライムは分電盤に噛ませる蓄電モジュールに。それぞれ専用のカートリッジを制作し、点検と交換ができる形にすることができた。

こうしてスライム荘は「ハイテク」なアパートになった。

夕方。リュウの電話が鳴る。
「……今日? 今から?」

電話を切って、リュウが言う。
「内見希望だ。村の外から。転勤で急いでるらしい」

しばらくして、男が来た。
玄関で一度止まり、靴を脱いで床を軽く踏む。

男は淡々と聞いた。
「水回り、見てもいいですか」

俺は頷いて、101号室の鍵を開けた。
「どうぞ。見た方が早い」

——スライム荘の間取り・設備・募集条件を見る

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