不動産売却時における銀行の利用方法。連絡タイミングは?

不動産売却時に銀行を利用する際の重要ポイントと、手続きの流れを詳しく解説します。

不動産を売却しようと考えた際、多くの方がまず思い浮かべるのは不動産会社(仲介業者)でしょう。不動産会社は売却活動の計画立案から買主との交渉、契約の締結までを担い、売却を円滑に進めるうえで欠かせない存在です。

しかし、売却に伴う手続きの中で、銀行との連携が必要になるケースも少なくありません。

特に、住宅ローンが残っている場合には、ローンの一括返済や抵当権の抹消といった重要な手続きを、銀行と連携して進める必要があります。

本記事では、不動産売却時における銀行の利用方法や連絡すべきタイミングなどについて、詳しく解説します。銀行とのスムーズなやり取りは、不動産の売却を成功させるための重要なカギとなります。

不動産売却における銀行との連携が必要な理由

不動産を売却する際は、まず不動産会社に相談するのが一般的です。

不動産会社は、売却活動の計画立案から買主との交渉、契約の締結までをサポートし、売却を円滑に進める役割を果たします。

ただし、売却する物件に「住宅ローンが残っている場合」などでは、売却活動と並行して、ローンの返済に関する手続きを銀行と連携しながら進める必要があります。

そのため、適切なタイミングで銀行へ連絡を取ることが重要です。

一括返済の連絡

売却予定の不動産に住宅ローンの残債がある場合、一般的には不動産の売却代金を用いてローンを一括返済します。

そのため、一括返済に必要な書類の手配や抵当権抹消手続きが必要となりますが、これらの手続きは不動産会社(仲介業者)ではなく、銀行に依頼することになります。

まずは、ローンを借り入れている金融機関に対して、不動産の売却およびローンの一括返済の意思を伝え、手続きの準備を進めましょう。

《銀行へ連絡した際に確認しておくべき事項》

  • 繰り上げ返済で生じる違約金や手数料について
  • 現時点でのローン残高

万が一、売却代金でローンを完済できないと予想される場合には、不足分の資金をどのように工面するか、または追加の融資で対応可能かどうかについても、事前に銀行と相談しておくことが大切です。

抵当権の抹消

住宅ローンを利用して購入した不動産には、ほぼ例外なく「抵当権」が設定されています。売買契約の成立には、抵当権の抹消が必須となります。

◎抵当権とは?
金融機関がローンの返済を確実に受け取るために、融資の担保として物件に設定する権利です。ローンの返済が滞った際に金融機関がその不動産を差し押さえ、競売にかけることで貸付金を回収することが可能となります。住宅ローンを組むと、自動的にこの抵当権が土地や建物に設定されます。

◎抵当権を抹消するには?
抵当権は、住宅ローンを完済することで初めて抹消することが可能になります。住宅ローンが残っている場合は、不動産の売却代金を使ってローンを一括返済し、決済と同時に抵当権の抹消登記を行います。抹消手続きは、不動産売買の決済当日に司法書士が銀行に出向き、必要書類を受け取って法務局で登記申請を行うのが一般的な流れです。

金融機関との事前調整が必要になるため、早めに銀行へ売却の意向を伝えておくことが重要です。

不動産売却の具体的な手続きの流れ

住宅ローンが残っている状態で不動産を売却する場合、銀行と連携して手続きを進めていくことが大切です。

なお、銀行へ相談するタイミングは、以下のいずれかを推奨します。

  • 売却を具体的に検討し始めた段階
  • 媒介契約の締結後
  • 売買契約の締結後

自分はどちらのタイミングで銀行へ相談すべきなのか、不動産売却の流れとともに確認してきましょう。

1.不動産の査定

不動産を売却して住宅ローンを一括返済できるかどうかを判断するために、まず不動産会社に査定を依頼し、売却価格の目安を把握しましょう。

自分で一から不動産会社を探すのは手間がかかるため、複数の不動産会社にまとめて査定を依頼できる「不動産一括査定サイト」の利用がおすすめです。

《仲介を依頼する不動産会社を選ぶポイント》
仲介を依頼する不動産会社を選ぶ際は、提示された査定額だけではなく、対応やサポート内容も比較することが大切です。「担当者の知識や経験」「対応の丁寧さ」「信頼性」なども含めて、総合的に判断しましょう。特に、ローン残債のある物件は通常の不動産売却よりも複雑な手続きが多いことから、売却経験が豊富な業者を見つける事が成功のカギとなります。

《銀行への連絡タイミング その①》
少し早いと感じるかもしれませんが、以下の状況に該当する場合は、査定段階から銀行へ事前に相談しておくと安心です。

  • 売却予想価格がローン残債を大きく下回る可能性がある場合
  • ローンの条件が特殊な場合(過去に返済の遅延があった場合など)
  • 住み替えローンやつなぎ融資などの利用を検討している場合

これらのケースでは、早い段階で銀行と資金計画を調整しておくことで、売却時のトラブルを回避することができます。

2.媒介契約の締結

不動産売却の仲介を依頼する不動産会社が決まったら、売主と不動産会社との間で媒介契約を結びます。媒介契約では、売却活動の進め方や、売却が成立した際に不動産会社が受け取る報酬額などが定められます。

媒介契約の締結後は、不動産会社とともに本格的な売却活動がスタートします。

《銀行への連絡タイミング その②》
媒介契約を結んだこのタイミングで一度銀行に相談しておくことをおすすめします。この段階ではまだ具体的な話が決まっていないため、正式な書類作成はできませんが、ローン残高や手続きの流れを事前に確認しておくことで、今後の売却活動をスムーズに進めることができます。

3.売買契約の締結

購入希望者が決まったら、売買契約を締結し、正式な取引に進みます。契約を結ぶことで、買主・売主双方の権利と義務が明確になり、取引の安全性が確保されます。

契約書には以下のような内容が盛り込まれます。

  • 売却価格
  • 支払い条件(手付金の有無・金額など)
  • 手付金の受け取りについて
  • 売却に伴う諸費用(仲介手数料、登記費用など)
  • 引渡しスケジュール
  • 契約解除の条件や違約金
  • 必要書類の確認 

不動産会社や金融機関と連携し、契約内容に不備がないよう注意しましょう。

契約後は、買主が住宅ローンの審査を進めます。

手付金の支払いを受けた後、審査結果が出るまで一定の期間が必要ですが、承認されれば引渡しに向けた準備が進められます。

審査が無事に通過すれば、最終的な売却手続きへと移行します。

《銀行への連絡タイミング その③》
⇒決済日の10日前までには必ず連絡!
売買契約が締結された後は、これまで銀行に連絡していなかった方も、このタイミングで必ず銀行に連絡を入れましょう。契約内容が確定し、決済日が決まったことで、銀行側も正式な手続きを進めることができます。これには、残債の精算額の算出や抵当権抹消の準備が含まれます。

なお、抹消登記に必要な書類や清算書の作成には数営業日~10日程度かかることもあります。

手続きが遅れたせいで、決済や引き渡し日の延期を余儀なくされるケースもあるため、注意が必要です。そのようなリスクを避けるためにも、遅くとも決済日の10日前までには、銀行へ正式に連絡を入れるとよいでしょう。

4.決済と引き渡し

売買契約が成立し、買主の住宅ローン審査が完了した後は、いよいよ引渡しの準備を進めます。
引渡し当日の主な手続きは以下の通りです。

  1. 売却代金の受領
     買主からの振込を確認後、金融機関にローンの完済手続きを依頼する。
  2. 住宅ローンの完済
     売却金を利用して、残りの住宅ローンを一括返済する。
     合わせて、不動産会社に仲介手数料を支払います。
  3. 抵当権の抹消手続き
     住宅ローンが完済されると、金融機関から「完済証明書」が発行されます。
     この証明書を基に司法書士が抵当権抹消登記を申請し、抵当権が正式に抹消されることで売却手続きが完了します。
  4. 鍵の引渡し
     物件の鍵や関係書類を買主に渡し、引渡しを完了する。
  5. 登記変更の確認
     法務局で登記が変更されたことを確認する。

これらの手順を経て、物件の所有権が正式に買主に移転します。

引渡し当日には、不動産会社(仲介業者)の担当者や司法書士、場合によっては銀行の担当者が立ち会い、手続きをサポートしてくれます。

各担当者と密に連携し、手続きの内容に不明点があれば、その場で確認することが大切です。わからないまま進めるのではなく、疑問点をその都度解消し、スムーズな取引を心がけましょう。

5.売却後の手続き

売却後に行う主な手続きは以下の通りです。

  1. 確定申告の準備
     売却によって譲渡所得税が発生する場合、確定申告が必要です。
  2. 固定資産税の精算
     売却後には税務署から通知が届きます。納付状況を確認しましょう。
  3. 引越しと住民票の変更
     新居へ引っ越した後には、住民票の変更が必要です。

売却が完了した後も、これらの手続きをしっかり行うことで、安心して新生活をスタートできます。手続きを一つずつ確認し、漏れなく進めましょう。

銀行との連携を円滑に進めるためのポイント

ここでは、銀行との連携を円滑に進めるためのポイントを整理しました。手続きを滞りなく進めるにはどうしたか良いのか?早速確認していきましょう。

信頼できる不動産会社と司法書士を選ぼう

不動産売却時、銀行との調整を代行してくれる不動産会社や司法書士のサポートが重要です。特に、住宅ローンが残っている場合、抵当権抹消や清算書作成、残債返済手続きなど複雑な業務が発生します。

経験豊富な専門家にサポートを依頼することで、スムーズに手続きを進められます。実績や対応力を重視して、信頼できるパートナーを選びましょう。

必要書類と情報を準備する

不動産売却について銀行に連絡する際は、その後の手続きをスムーズに進めるために、あらかじめ以下の書類や情報について整理しておきましょう。

《事前に用意すべき情報/書類》

  • 住宅ローン契約番号/借入残高(返済予定表またはローン通帳)
  • 売却予定の不動産情報(登記簿謄本、物件概要書)
  • 売買契約書(契約締結後)または査定書
  • 本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)

《銀行に伝えるべき事項》

  • 売却不動産の基本情報(住所や物件の概要)
  • 売買契約が成立しているか
  • 決済予定日/引き渡し日の目安(契約が成立している場合)
  • 売却代金とローン残債の差額
  • 返済方法
  • 抵当権抹消に関わる司法書士の連絡先(わかる場合)

特に「自己資金で残債を補填する予定があるか」や「住み替えローンを組むか」などの資金計画は、銀行にとって重要な判断材料です。

これらを不明確なまま進めると、書類作成や審査が遅れ、決済スケジュールに影響を与える可能性があるため、できるだけ速やかに意思決定することが重要です。

連絡が遅れると起こるリスク

適切なタイミングで銀行へ連絡していなかった場合では、以下のリスクが生じます。

1.抵当権抹消が間に合わない

抵当権抹消の準備には、銀行から発行される書類(弁済証書、抵当権解除証書、登記原因証明情報など)が必要です。これらの書類作成には数日~1週間以上かかることがあり、直前に連絡しても発行が間に合わない可能性があります。抵当権が抹消できなければ、所有権移転が不可能となり、決済・引き渡しの延期や契約解除といったリスクが生じます。

2.決済延期によるトラブル

決済日までに抵当権抹消などの手続きが間に合わず、引き渡しが延期になってしまったケースでは、買主の住宅ローン融資期限が切れる可能性があります。その結果、買主に対して違約金が発生することもあります。

さらに、売主側にも契約不履行としてペナルティが科される可能性があり、最悪の場合は契約解除や損害賠償につながることもあります。銀行への連絡が遅れた結果が、重大なトラブルを引き起こす可能性があります。

手続きを適切に進めるために、早い段階で銀行に連絡・相談を行うことが重要です。

まとめ

不動産を売却する際は、状況に応じて適切なタイミングで銀行への連絡や相談を行うことが重要です。

住宅ローンの残債がある場合は、ローン残債の返済計画や、一括返済に必要な書類作成、抵当権抹消手続きなどを銀行に依頼する必要があります。

特に、以下のようなケースでは、早い段階で銀行と資金計画について相談しておくことが重要です。

  • 売却予想価格がローン残債を大きく下回る可能性がある場合
  • ローンの条件が特殊な場合(過去に返済の遅延があった場合など)
  • 住み替えローンやつなぎ融資などの利用を検討している場合

銀行への連絡が遅れると、決済の遅延や契約解除、損害賠償に発展するなど重大なトラブルを招く可能性もあります。

リスクを避けて円滑に不動産の売却を進めるために、銀行と密に連携を行い、確実に手続きを進めていきましょう。

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