マンションの構造、なぜ知っておくべきなのか?

マンションの構造について深く考える機会は、そう多くないかもしれません。しかし、「構造」は日々の快適な暮らしや将来の資産価値に大きく関わる重要な要素です。地震や災害が多い日本においてはなおさら、建物の「中身」が安全性や居住性に直結します。

例えば、少し前に報道された台湾のマンション倒壊事故では、鉄筋の本数が少なかったり、なんと内部から空き缶のような物まで出てきたりするという衝撃的な内容が明るみに出ました。日本ではそのような施工不良はほとんどありませんが、それでも購入者として「見えない構造」に対する理解を持つことは、安心して暮らすために必要な知識です。

この記事では、RC造・SRC造・S造という代表的な3つのマンション構造について、それぞれの特徴や違いを分かりやすく解説していきます。久喜市周辺でマンションを探している方、将来的な購入を検討している方にとって、有益な情報になるはずです。

マンションの構造、S造、RC造、SRC造の違いを図解

マンションの主要構造3種類とは?

マンションにはさまざまな構造がありますが、一般的な住宅用として採用されているのは以下の3種類です。

  • RC造(鉄筋コンクリート造)
  • SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)
  • S造(鉄骨造)

それぞれの構造には特徴があり、強度、工期、コスト、間取りの自由度などに差があります。ここではまず、それぞれの構造の基本を紹介します。

RC造(鉄筋コンクリート造)

 RC造の構造

RC造とは、鉄筋を組んだ上からコンクリートを流し込み、硬化させて造る構造です。鉄筋は「引っ張る力」に強く、コンクリートは「圧縮する力」に強いという性質を持っており、互いの短所を補う形で構造の安定性を高めています。

RC造の特徴は以下の通りです。

  • 耐火性・耐震性に優れる
  • 比較的間取りの自由度が高い
  • 遮音性も高く、生活音のストレスが少ない
  • 戸建て〜中層マンション(〜7~8階程度)によく使われる

特に日本では最も一般的なマンション構造であり、コストと性能のバランスに優れていることから、多くの分譲・賃貸マンションで採用されています。

SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)


 SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)

SRC造は、S造の鉄骨を芯材として内部に使用し、その周りに鉄筋とコンクリートを組み合わせて形成する構造です。RC造に比べてさらに強度が高く、超高層マンションやタワーマンションに多く用いられます。

主な特徴は以下の通りです。

  • RC造よりもさらに耐震性・耐火性が高い
  • 柱を細くできるため、居住空間を広く取れる
  • 構造が複雑なため、建築コストは高め
  • 工期もRC造に比べて長くなりがち

一見するとRC造と似たような外観でも、実際は構造計算の段階で大きく異なる判断基準が必要となるほど、設計や施工のレベルが高い構造です。

S造(鉄骨造)

 S造(鉄骨造)の構造

S造は、柱や梁に鉄骨を用いた構造です。I型鋼やH型鋼など、鋼材の断面形状によって呼び分けられます。軽量かつ加工しやすい点が特徴で、大空間を必要とする工場や体育館などに多く使われますが、近年では低層のマンションにも用いられることがあります。

S造の特徴は次の通りです。

  • 軽量で、工期が短い
  • 建築コストはRC造・SRC造に比べて抑えられるため、賃貸マンションで採用増
  • 防音性・耐火性ではRC造に劣る場合がある
  • 木造と比較すれば頑丈だが、分譲マンションとしては少数派

住宅用として採用されるケースでは、2〜4階建ての小規模マンションや賃貸物件が多く、コストパフォーマンスを重視する場合に検討される構造です。

各構造のメリット・デメリットを比較

マンションの構造は、住み心地や安全性、将来のリフォームのしやすさなど、さまざまな面に影響します。ここではRC造、SRC造、S造それぞれの構造について、主な比較ポイントごとにメリットとデメリットを整理してみましょう。

耐震性・耐火性・防音性の違い

日本では地震が頻繁に発生するため、耐震性は構造選びの最重要ポイントのひとつです。また、火災に強いかどうか、防音性に優れているかどうかも、日常生活の快適性に直結します。

  • RC造:耐震性・耐火性・防音性ともにバランスが取れている。中規模の建物に多く使われる。
  • SRC造:耐震性・耐火性は最も高く、特に高層建築で強みを発揮。防音性も高い。
  • S造:鉄骨は地震の揺れを逃がしやすく、軽量である点は有利だが、火に弱く防音性も劣る傾向。

特にSRC造は、地震時に揺れが少なく感じると言われるほどで、静音性と合わせて安心感のある住空間を提供します。ただし、設計の難易度が高いため、設計・施工の質によって性能にばらつきが出る可能性もあります。

建築コストと工期の違い

建築コストや完成までの工期も、構造ごとに大きく異なります。分譲マンションや賃貸物件で「なぜこの価格差があるのか」を理解する上でも、構造の違いを知ることは重要です。

  • RC造:中程度のコストと工期。最もバランスが取れているため、分譲マンションの主力構造として採用されやすい。
  • SRC造:コストが高く、工期も長くなる。構造が複雑で、鉄骨・鉄筋・コンクリートすべての工程が必要。
  • S造:建築費は最も安く、工期も短い。簡易な構造で施工しやすい。

この点からも、SRC造は大規模開発向け、S造はローコスト物件や低層建物向けと位置付けられ、RC造がその中間的な存在です。

間取りの自由度とリフォームのしやすさ

住まいとしての柔軟性も、構造によって変わります。将来のリフォームや間取り変更のしやすさを考える際にも、構造の理解は役立ちます。

  • RC造:間取りの自由度が高い。柱の配置が比較的自由で、個性的なプランも実現しやすい。
  • SRC造:柱が細くできるため、空間の有効活用が可能。ただし構造が複雑なため、大規模リフォームには制約がある。
  • S造:柱の本数が少なく、広い空間が作りやすい一方、防火・防音の観点で間取りの制限を受けやすい。

例えば、壁を取り払ってワンルームにするような大規模リフォームを検討している場合、構造によって可否が大きく異なります。特にSRC造では、構造体に影響を与えるような改築は難しく、専門的な判断が必要です。

構造の違いが暮らしに与える影響

構造の違いは、単なる建築技術上の問題だけでなく、実際の暮らしやすさ、将来的な安心感、さらには資産価値にも影響を与えます。ここでは、住まいとしての視点から、それぞれの構造がどのような影響をもたらすのかを整理します。

快適性や住み心地の差

たとえば、遮音性に優れるRC造やSRC造のマンションでは、上下階や隣室の生活音が気になりにくく、静かに過ごすことができます。特に子育て世代や在宅ワークをしている方にとっては、音のストレスが少ないことは大きなメリットです。

また、気温の変化に対する断熱性も構造により異なります。RC造・SRC造ではコンクリートの蓄熱性により、夏は室内温度が上がりにくく、冬も保温性が比較的高いとされます。一方、S造は鉄骨が温度を伝えやすいため、外気の影響を受けやすい面があります。

維持管理や修繕面での違い

構造によっては、将来的なメンテナンスコストにも差が生まれます。例えばRC造は中規模なメンテナンスがしやすく、工事の選択肢も多いのが特徴です。SRC造の場合、耐久性は高いものの、大規模修繕時には構造に応じた専門的対応が必要で、費用が高くなることもあります。

また、マンションの管理組合が行う大規模修繕の計画に影響するのも構造です。修繕周期やコストを含めた将来計画に対しても構造の選択は無関係ではありません。

資産価値や売却時の影響

資産価値という観点では、構造の違いが直接的に価格に反映されることは少ないものの、耐震性や遮音性といった「住みやすさ」は、将来的な売却時の評価に関わることがあります。

特にSRC造の高層マンションでは、地震時の安全性や眺望の良さなどから一定の需要があり、好条件の立地と組み合わさると資産価値を維持しやすくなります。一方でS造は、構造の簡素さから築年数が経過すると評価が下がりやすい傾向があります。

マンション選びで構造をどう見るべきか?

マンションを購入する際、「立地」や「価格」に目が向きがちですが、構造も重要な選択要素です。では実際に選ぶ場面で、どのように構造を意識すればよいのでしょうか。

自分や家族のライフスタイルに合った構造を選ぶ

たとえば、小さなお子様がいる家庭では、防音性の高いRC造やSRC造を選ぶことで、周囲への気遣いが減り、生活に余裕が生まれます。逆に若い単身者や共働きで不在が多い家庭では、S造の物件でも十分という考え方もあるでしょう。

また、リモートワーク中心の暮らしでは、遮音性と安定した室温管理が求められるため、RC造以上の構造が快適に感じられる可能性があります。

地域特性に合わせた選択も重要

例えば久喜市のように、比較的地盤が安定している地域ではどの構造でも大きな問題はありませんが、地震リスクが高いエリアではSRC造のように強度の高い構造が選ばれる傾向にあります。

また、周辺に高層マンションが少ない地域ではSRC造のタワーマンションが逆に目立ちすぎて資産価値の維持が難しくなることもあるため、周辺環境とのバランスを見極めることも大切です。

将来の修繕やリフォームを考慮する

長く住み続ける前提であれば、メンテナンスのしやすさや間取り変更の自由度も重要です。RC造はリフォームの自由度が高く、10年後、20年後に生活スタイルが変わっても対応しやすい構造です。

一方、SRC造は高性能ながら専門性が高いため、構造に手を加えるようなリフォームには制約が出る可能性があります。

鉄骨造で使われるコンクリートとALC板とは?

鉄骨造と聞くと、「すべてが鉄でできていて、コンクリートは使われていない」と思われがちですが、実際にはそうではありません。鉄骨造であっても、建物のさまざまな部分でコンクリートやALC(軽量気泡コンクリート)板が使用されており、強度や遮音性、断熱性を高めるために重要な役割を担っています。

床スラブや基礎にはコンクリートが使われている

S造のマンションやビルであっても、床や基礎部分には鉄筋コンクリートのスラブが用いられるのが一般的です。これは荷重に対する強度確保のためであり、床がたわんだり、歩行時に振動したりしないようにするために不可欠な構造です。

したがって、「S造=すべて鉄だけで構成されている建物」ではなく、「主要構造部(柱・梁)に鉄骨を使っているが、床や壁にはコンクリートも併用されている建物」と理解するのが正確です。

外壁や間仕切りに使われるALC板

鉄骨造では外壁や間仕切りとして「ALC板(Autoclaved Lightweight aerated Concrete)」がよく使われます。これは軽量ながら高い耐火性・断熱性・遮音性を備えており、施工性も良いため多くの中低層マンションや商業施設で採用されています。

ALC板は鉄骨造の弱点とされがちな「音が響きやすい」「暑さ・寒さを感じやすい」といった面を補うための素材でもあります。もちろん、RC造やSRC造に比べると遮音性・断熱性にやや劣るケースもありますが、仕様によっては高性能なパネルが使用されており、一定の快適性は確保されています。

コンクリートを使わない建物ではないという視点

つまり、鉄骨造の建物であってもコンクリートやALCなどが適所に用いられており、「安っぽい」「不安」という先入観だけで判断するのは早計です。むしろ、適切に設計されたS造の建物は、コストと機能のバランスに優れ、メンテナンスもしやすいという利点もあります。

まとめ:自分に合ったマンション構造を選ぶために

マンションの構造は、建物の見た目からは分かりにくい部分ですが、暮らしやすさや安全性、将来のメンテナンス性、資産価値など、多くの面に影響を与える非常に重要な要素です。

RC造は、コスト・性能・自由度のバランスに優れており、多くの分譲・賃貸マンションに採用されている「スタンダードな構造」です。SRC造はより強度や耐震性に優れた構造で、特に高層マンションや都心部の大規模開発物件に多く見られます。S造はコストを抑えて短工期で建築できるため、昨今の建築費高騰により人気が出てきています。主に中規模の建物や賃貸物件に採用されています。

構造を知ることで、見た目や設備だけでは判断できない本質的な価値を見抜くことができます。購入前にパンフレットや資料に「構造形式」が記載されているかを確認し、不明な点があれば販売担当者や不動産会社に具体的に尋ねてみましょう。構造計算書や意匠図の提示を受けられるケースもあり、安心材料として有効です。

久喜市エリアでは、RC造を中心に選択肢が多く、コストと快適性の両立を図ることが可能です。また、地震リスクが比較的低い地域では、S造や簡易なRC造の物件でも十分に生活可能であり、自身のライフスタイルとバランスを取りながら構造を選ぶことが大切です。

住まいは日々の安心と快適さの基盤となる場所です。構造に関する理解を深めたうえで、自分と家族にとって最も適した選択を行い、納得できる住まい探しを進めていきましょう。

有料noteを今だけ無料プレゼント!

「知って安心!プロが教える 不動産活用大全【埼玉版】」から、
特にマイホーム購入者に人気の高かったテーマを無料公開
しています。

・住宅ローン減税・補助金制度の組み合わせ術
・2025年最新版!埼玉で使える市町村独自制度も掲載
・知らないと数百万円損するケースも…

通常有料(1,980円)の限定noteを、今だけ無料プレゼント中!

※メールアドレスをご登録いただいた方にのみ、メールにてお送りします。

▶ 今すぐ無料で読む

有料で読まれる方や試し読みされたい方は、下記サイトにて一部無料公開中!

◎知って楽しい久喜 すまいの相談窓口info とは

知って楽しい久喜 すまいの相談窓口info」は、久喜市の不動産会社 株式会社フジハウジングが運営する久喜市周辺の情報や住まいに関するあらゆる疑問や悩みを解決するための情報を発信しているサイトです。

フジハウジングでは一人一人のニーズに合わせたご提案を行い、住まいを通じた人生設計を支援しています。お部屋探し・テナント探し・アパートなどの賃貸管理・資産価値リフォーム・おうち探し・土地探し・不動産売却・相続対策・土地有効活用はフジハウジングにお任せください。

関連記事