空き家をそのままにすると何が困るの?

空き家とは長期間人が住まず、使用されていない建物のことです。
具体的には、おおむね1年間、建物への出入りがないこと、電気、水道、ガスなどが使われていないこと、所有者の住所が異なる場所にあることなどを基準に総合的に空き家かどうかが判断されます。

空き家のなかには長期間放置されたため傷みが進み、ゴミ屋敷などと言われるような状態になってしまった建物があります。こうした空き家は景観上だけではなく、安全上、衛生上などさまざまな問題を起こし、近隣に迷惑をかける可能性があります。

そこで、国はこのような空き家を「特定空き家」に認定し、所有者に改善を求めるための法律を制定しました。

それが、2015年に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法(以下「空き家特措法」)です。

空き家特措法では、次の4つの状態と認められる空き家を「特定空き家」と定義しています。

【特定空き家の認定基準】

  ・そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態
  ・著しく衛生上有害となるおそれのある状態
  ・適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態
  ・その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態

空き家特措法では、規制の対象は建物だけではなく、門や塀、立木、看板なども含めているため「特定空家等」としています。

不動産を所有していると毎年固定資産税がかかり、さらに市街化区域内にある土地には都市計画税もかかりますので、活用されていない空き家は経済効率が悪いとも言えます。

さらに、令和5年12月13日に施行となった、「空家等対策の推進に関する特別措置法の一部を改正する法律」により「管理不全空き家」という区分が新設されました。

【管理不全空き家の認定基準】

  ・壁や窓の一部が腐食・破損、落下の可能性がある
  ・雑草や枯れ草が管理されない(病害虫などが発生する可能性)
  ・敷地内にゴミなどが散乱、放置されている

「特定空き家」のように完全放置という訳ではなくとも、上記のような危険性のある空き家を指します。

これまでは「特定空き家」と認定されなければ、自治体から管理命令を出せませんでしたが、「特定空き家」になることを自治体の早期介入によって防ぐため、「管理不全空き家」という区分が設置されたわけです。

 「管理不全空き家」は、空き家の管理を促すための措置でありますが、「特定空き家」と同様に固定資産税が最大6倍となるリスクがあることには注意が必要です。

☆トクするポイント

放置している建物に手を付けるのはどうしても面倒に感じますが、「特定空き家」「管理不全空き家」 等に指定される前に、収益化することで「負動産」となってしまうのを避けられます。
「先祖からの家・建物だから残したい」といった場合も、管理のみを委託する方法もあります。まずは信頼できる不動産会社に相談してみて選択肢を持つことが重要です。

空き家空き地の売却

空き家の売却を考えるタイミングとして、「空き家管理の手間から開放されたい」、「子孫の代に迷惑をかけないよう整理したい」「固定資産税の支払いが重くのしかかってくる」といった場合が挙げられます。

また、兄弟平等に相続した遺産の分割をする方法として、「自宅を売却し現金化する」方法を選択される方も多くなっています。

 ただ、いざ家を売却しようと思っても、何から始めたら良いか分からない、いくらで売るのが妥当かわからない、また遠方に住んでいる他の兄弟たちとの調整が難しいなどの課題がある場合も多いです。

以下では、代表的な売却の方法を紹介します。

現況で売却

空き家をそのままの状態で売却することを「中古戸建」または「古家付土地」での売却と言います。

この売却方法のメリットとしては手間がかからない事と、お金の持ち出しが少ないことです。「中古戸建」の場合はリフォーム費用、「古家付土地」の場合は解体や造成、分筆・測量等の費用は全て買主の負担となります。

その手間と持ち出し費用、その他リスクを買主が負うため、売却価格はそういった費用を差し引いた価格となってしまいますが、売り出しをすぐに始めることができるため、時間やお金をなるべくかけたくない、手間なく処分したいという方にはオススメの売却方法です。

解体して売却

空き家を解体して売却することを「更地」での売却と言います。

建物を解体して更地にすることで、建物解体の時間や費用、リスクを売主が負いますが、一般的に「古家付土地」よりも高く早く売却できる可能性が高まります。

また、古家にはたくさんの電化製品や不要な家具などが残されていることが多いですが、建物の解体時に業者がまとめて処分することも可能なため、必要なもの、大切なものだけ持ち出せばよく、整理まで一度に終わらせることができるので、解体を選ばれる方も多くいらっしゃいます。

ただし、建物を解体した状態で1月1日を迎えてしまうと固定資産税・都市計画税に適用されている住宅用地の特例がなくなってしまいますので注意が必要です。(市町村によっては減免措置があるため、ご相談ください。)

☆トクするポイント

どんな立地、状態でも、ほとんどのケースで現所有者様のご意思があれば売却することができます。 また、売り出してから買い手がみつかり現金化するまでの期間に余裕が持てるほど、高い金額で成約できる可能性も上がります。
一方で、保有期間が短い場合など売却益にかかる税金が高くなってしまうケースありますので、タイミングや売り方は不動産のプロに相談するのが良いでしょう。

◎当社のお客様事例◎


2023年久喜市本町
長年放置され、廃屋状態になり草木も伸び放題となっていました。お金をかけずに手放したいとのことで、当社の方で解体費用などを持たせていただき買取させて頂きました。買取後はきれいに更地に再生し、新築を建てたいお客様にお譲りいたしました。

きれいに更地になった際は、近隣の方からも「きれいになってよかった。ずっと空き家だったから放火などが不安だった。これで安心しました」とお声がけいただけました。

《Before》
《After》

賃貸に出す方法

建物は長期間放置されると傷んでしまい、湿気や害虫・害獣の発生、埃などで、あっという間に人が住めなくなってしまいます。
建物を長持ちさせる一番の方法は人が使い続けることです。

そのため、最初に検討すべき活用方法の一つとして、空き家を人に貸すという選択肢があります。この方法は、空き家は実家やご自宅である場合が多く、思い入れのある家を売却したくない、という方が選択されることが多いです。

そのまま賃貸する

もう一つのメリットは日常管理の手間から解放されるということです。人に貸すことで管理の手間なく建物の維持ができるので、最近ではリフォームして賃貸にするというケースも増えています。

特に賃貸戸建はファミリー賃貸需要に対して、供給数がまだまだ少ないのが現状で、築年数や立地に関係なく安定した家賃収入が見込めます。入居期間も長期間となるケースが多く、収支計画が立てやすいのが魅力です。収益性はアパートを含む他の土地活用には劣りますが、リスクをなるべく少なくしたいという方にはおススメです。

空き家を賃貸する上でのリスクも確認しましょう。
その一つに貸主責任があります。借主はそこを住宅として使用するわけですから、例えばトイレが壊れたら交換してあげないといけません。他にも水道や電気のトラブルなど、貸主が対処する必要があるトラブルは多くあります。

その結果、修繕費用が家賃収入より多くなってしまう場合もあります。また、入居者が退去した場合、その期間は収入が無くなってしまい、日常管理も必要になります。

空き家を賃貸することの最も大きなメリットは、売却と違い空き家を手放さずに活用ができるという点です。将来自分や子供が住むかもしれない、心の整理がまだついておらず売却に踏み切れないなど、賃貸での活用を選ばれる方の理由はさまざまです。このように、空き家の賃貸には、不動産投資や賃貸経営としてのリスクもあります。

リスクを最小限にするためには、賃貸戸建やリフォームに詳しい不動産管理会社を見つけることが大切です。

リフォームして賃貸(戸建)

賃貸戸建は需要に対して供給が少なく、比較的安定した収益を確保しやすい不動産活用です。

そのため、リフォームも必ずしも新築に近い状態までする必要はなく、ポイントに絞って行うのが効果的です。水回り設備(キッチン、風呂、トイレなど)やドアノブ、スイッチなど手に触れる部分は重点的にリフォームを行うなど、費用対効果の高いリフォームを選んで工事すると良いでしょう。

近年では、入居者の希望に合わせて追加でリフォームをするケースも増えています。
賃貸戸建を希望される方は比較的長く住む傾向が強く、自分たちのライフスタイルに合った部屋に住みたいという想いがあります。そのため、例えばクロスなど一部分だけでも入居者の希望を取り入れることで差別化を図ることができます。

☆トクするポイント

 当社では、賃貸の成約事例から分析し、入居者から選ばれやすいリフォームのポイントを解説しながら工事のご提案をしています。市場のニーズに合わせたリフォームを行うことで、収益性の高い賃貸物件にすることができます。経済的メリット以外にも、子育て世帯などに住んでいただくことで、子育て支援をしているようなポジティブな社会貢献ができます。

リフォームして賃貸(マンション)

マンションリフォームを行う場合、マンションごとの管理規約や構造に注意する必要があります。
特に間取り変更を含む大規模なリフォームを行う場合、管理組合からの許可が必要な場合や、マンションによっては行えないケースもあります。

マンションは、構造部分(柱、梁、壁、床など)の維持管理を管理組合が行うためリフォームは内装部分のみとなり、戸建よりも比較的安くリフォームができるのが特徴です。
そのため、マンションのリフォームをする場合は設備の方にお金をかけ水回りを新しくしたり、壁のクロスを一面だけ違う色にするなどの低価格でも行える差別化を複数施すことによって、オシャレな部屋にするのも人気です。

また、分譲マンションは比較的立地の良い物件が多く、賃貸住宅としてのニーズも高いのが特徴です。そのため、近隣のアパートや賃貸マンションよりも高い相場で貸せる可能性があります。


☆トクするポイント

当社がよくご提案している、比較的安価でできる集合住宅のリフォームポイントは、洗面台のシングルレバー混合水栓への取り換え、アクセントクロス、全館Wi-fi導入、宅配BOX設置、シャワー付き洗面台、TVモニタ付きドアホン等です。また、アパート名称を今風に変更する、というのも若い方向けには効果的ですね(〇〇荘、コーポ〇〇、ハイツ○○ →□□テラス、□□クレスト、レジデンス□□、など)。

当社について

株式会社フジハウジングは久喜市で40年以上、賃貸管理・仲介、不動産売買、不動産開発、リフォーム、事業用建築を手掛けている総合不動産会社です。どんな物件もあらゆる角度からアドバイスができることを強みにしております。空き家の活用サポート窓口として久喜市と連携協定を結んでおります。

また、当社の代表(藤田)は久喜市空家等対策協議会の委員(2020-2024)も務めており、空き家問題に精通しておりますので、どんな物件でも安心してご相談ください。

久喜市空家等対策協議会HP

記事を書いた人

経営企画室 上席相談員
鵜殿隆太朗(うどの りゅうたろう)


不動産取引・建築・資産活用のスペシャリストとしてご相談に応じております。
ご事情やご要望をお聞かせいただき、満足のいく解決策を一緒に考えていけたらと思います。


(保有資格)
宅地建物取引士
ビル経営管理士
1級建築施工管理技士
1種証券外務員
1級リフォームスタイリスト
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
2級福祉住環境コーディネーター
賃貸住宅メンテナンス主任者

【参考】公益社団法人全日本不動産協会 埼玉県本部HP / NPO法人空家・空地管理センターHP