久喜市議会議長の上條哲弘氏が今年5月、全国市議会議長会から、議長職を通算8年以上(5回)務めた功績が認められ、地方自治の発展に多大な貢献があったとして特別表彰されることが分かりました。
そこで今回は上條氏に、議長として心がけていることや久喜市の課題などについてお話を伺いました。
聞き手:農事新聞 編集長 長谷田一平
>上條さんはいつから市議会議員になられたのですか
1999(平成11)年1月からです
>市議会議員になろうと思ったきっかけは
当時、私は日立製作所にいて、サラリーマンとして銀行担当でオンラインプログラムを作るシステムエンジニアの仕事をしていました。とにかく地方回りと転勤が多くて、上司に「転勤のない仕事がしたい」とお願いしたんです。そうしたら転勤の多い銀行担当から保険会社担当になりました。ありがたいと思っていたんですが、やはりサラリーマン社会は甘くない。また転勤の話がでたんです。
それで「保険会社にいて転勤しない方法はないか」と再度上司に聞いたら、代理店システムがあると教えられたんです。
>それほど転勤は嫌だったということなんですね
当時、既に鷲宮町に家を買って、子どもも小学生になり、もう転勤は…と思っていたんです。
そこで自立しようと1996(平成8)年8月8日に保険代理店として有限会社上條保険事務所を立ち上げ、その年の10月に退社しました。
私の同級生のお父さんが鷲宮町の町長だったんです。そのご縁からご挨拶に伺って、いろいろと話をしているうちに急に『おまえ町会議員になれ』と言われたんです。
そこから5日後には襷をかけて鷲宮神社前で出陣式をやることになっていました。
>それで見事当選されたということですね
お陰様で…。初出馬で当選させていただきました。
この選挙は1名出た欠員を埋めるための補欠選挙だったので任期はわずか10か月程度でした。
その後、その年の12月に行われた議員枠が25人の鷲宮町議会選挙に立候補し、当選できました。結局、合併する前の旧鷲宮時代では補選の1期と通常選挙3期を含めて4期連続当選させていただき、2010(平成22)年3月23日の合併まで鷲宮町議会議員を務めました。
合併後の久喜市議会議員の履歴
>合併後の久喜市議会議員の履歴について教えていただけますか
10(平成22)年、14(平成14)年、18(平成18)年、22(令和4)年実施の久喜市議会議員選挙に立候補して4回当選させていただきました。
>上條さんは通算26年市議会議員としてご活躍され、今年5月には全国市議会議長会から表彰されると伺いました。いつから議長をやっているのですか
鷲宮町議会時代が1回(2008年)。
その後、新生久喜市議会になってからは4回(12~13年、18~20年、23~24年、25~現在)です。
>議長はどうやって決めるのですか
久喜市では、定数27人の議員が投票箱に議長としてふさわしい人の名前を書いて決めます。
>すると、先ほどのお話ではないですが、鷲宮町に1回、久喜市で現在まで4回ですから議員歴26年間の中で3分の1以上の通算8年は議長ですか。大したもんだ。
議長として大切にしていることは「公平性と察知力」
>市議会を運営する上で議長として一番気を使うというか、心がけていることは何ですか
2つあります。まずひとつ目はバランスですね。
私は現在、久喜市議会最大会派「久喜みらいの会」に所属していますが、議会で全議員27人が一斉に挙手するとき、自分が所属している会派だけ指名するなんてことはできません。公平性が大事です。
公明党さんにも共産党さんにも、その他私と意見や考え方が違う議員の方々にも、公平に発言ができる機会を作る、そのバランス感覚が必要です。
もうひとつは、空気感ですね。議会が白熱すればするほど、議場では冷静な議論が求められますから、その空気を作ることを大事にしています。一番やってはいけないことは議長があたふたすることです。
>上條議長が感じる議長に必要な条件とは何ですか
やはり経験値ですかね、期数の長さだと思います。
長ければ議会運営上でいろいろな面で経験を積むので、議会をスムーズに運んでいくための突破力が付いてくるってことです。
>市長を監視する、という重要な役目を担う市議会の長として、この4年近くの梅田市政をどう評価しますか
梅田市長が前回の選挙で掲げた公約の90%は達成できたことを考えると、久喜市の発展のため、市民のためによくやったと評価できると思います。
>点数で表すと何点ですか
公約達成率を考えると90点はあげたいが85点。
で、私の持論ですが市長は最低でも3期12年はやるべきと思っています。
1期目は市の発展のためにしっかりと種をまくことです。2期目はまいた種をきれいに育て上げることです。そして3期目はいよいよ収穫の時期です。市のトップに立つ人はこのサイクルを大事にして臨むべきというのが私の持論です。このサイクル論で言えば梅田市政は仕上げの3期目をやるべきだと思いますね。
>2期目のここまでの期間で特に評価できると思ったのはどんな点ですか
私が梅田市政で一番評価しているのは、包括協定の数が半端なく多い点ですね。
78社と包括協定を締結した。災害の時の食糧や車の緊急避難場所の確保でスーパー等と積極的に包括協定を結んだ。市民のためを思って包括協定を78社と結んだことはあまり知られていないが私は評価したい。
6期約21年も市長を務めた田中喧二氏は20年7カ月の間で包括協定を結んだのはわずか4件だけ。78件の梅田氏と比較するとこの違いは一目瞭然だと思う。
そのほか、懸案のゴミ処理施設建設問題の解決に見通しをつけたことや、学校教育と給食センター、それに南栗橋BLPのまちづくりなどは特に評価出来る。久喜市の発展のために先頭に立って成果を発揮していることは評価したいと思っています。
>教育面をもう少し細かく…
例えば、学校教育ではICTを使った教育で3年連続日本一を維持しています。日本一の教育現場を見たいと日本各地から見学がひっきりなしです。
>では逆に梅田市政のマイナス面は…
行政課題には難しい問題はたくさんあるので簡単には言えないが、情報発信力の弱さ、PR不足かな。
ごみ処理施設なんかは総論賛成、各論反対の典型的な迷惑施設なので作るのも大変。出来上がれば日本一素晴らしいごみ処理施設ができるのに、梅田氏はそれをうまく発信できていない。
あとは変化をチャンスに、ピンチをチャンスに変えることがちょっと不向きな面もある。
梅田氏は学校老朽化対策問題でも、学童の安全を第一に考え、万一の時に使う市の財政調整基金(財調)を23億円取り崩してでも補正予算を組んで事に当たった。それなのにいろいろと批判の声が出た。この問題解決のため私(市長)はリーダーシップを発揮してやったんだ、と強く発信すればいいのにと何回か思った。
>市の預金とも言える財調は数年前のピーク時には53億円もあったのに今は2~3億円程度しかない。市の財政運営に失敗しているとの声もあるが…。市の予算をチェックする役目がある市議会の議長としてこの問題をどうみていますか。
財調は今再び30億円まで戻りました。批判する人はいろいろなことを言いますが、家計の預貯金とは違って財調は調整弁です。必要な時に必要な投資をする必要があるので、一時的な減少で、一喜一憂することではないと私は思っています。
>議長から見て、久喜市の今後の政策課題は何ですか
ひとつは久喜市の昼夜人口差の拡大が続く中、昼間は東京に行って、夜久喜に帰ってくる方たちに、いかに久喜市政に関心をもってもらい、参加していただくかってことです。そういった方々と一緒に、どうすれば久喜市のためになる街づくりができるか、考えたいですね。
あとは、市長マターの話かもしれませんが、久喜の農業を今後どうするかですね。
跡継ぎ問題や、農地の保全問題など考えれば、農地を小さく切っていてはダメ。大きくして、一気に効率よくやっていくべきで、ここは農業をやる地区、ここはそうではない地区、と住み分けをはっきりさせた方がいい。「久喜市はこうやりたい」という明確なビジョンを作って、国にあてる時期に来ていると思う。10年先を見て、今こそ方向性を出すべきだと思いますね。
>最後に市民へのメッセージ
開かれた市議会を目指しています。本会議のインターネット中継以外に、懸案だった常任委員会の様子も市民の方に見ていただこうと、昨年12月開催の定例会からインターネットで視聴できるようにしました。是非見てください。
それと、市議会議員の襟を正すため、昨年12月23日には「ハラスメント防止条例」を制定しました。議長として、市職員にアンケート調査を実施した結果、条例制定の必要性を感じました。市議会議員は久喜市民の代表ですが、時代が変わったとの認識のもと、勘違いせずに今後も市政をチェックしていきたいと思っています。
