梅田市長・市政報告会 -脱・無関心、政治参加のススメ
去る3月24日、2019年度「梅田市長・市政報告」に行ってきました。
「政治参加は選挙の時だけ」という筆者でしたが、参加後に心境の変化が・・・。
市政報告の様子を包み隠さずレポートします。
※写真は、久喜菖蒲公園
梅田市長・市政報告 概要
日時:2019年3月24日(日) 17:00~
会場:久喜市・菖蒲 農業者トレーニングセンター
参加資格:どなたも自由
参加料:無料
主催:久喜市をもっと良くする会
※会場はその年により変動します。
今回訪問した「市政報告」は「久喜市をもっと良くする会」が主催しています。
「久喜市をもっと良くする」なんて、久喜市民は特に、胸が熱くなるネーミングです。
会場では、開始30分頃はちらほら…だったにも関わらず、スタートする頃はもう満席。イスを追加するほどの盛況ぶりでした。
「政治に無関心な人が多い」と報道で聞くほか、自分の周辺もそうでしたが、現地に赴いてみると、日曜日の夕食前の時間帯だというのに、ご高齢の方や20~30代など広い世代が参加していて、市政への関心の高さが伺えました。
市政報告の流れ
さて、今回の市政報告の大まかな流れをご紹介しましょう。
始まりは、スクリーンを使った映像と音楽による、紹介ムービーから始まりました。
プロジェクターを通じて、久喜市の様々な地域・人々が映し出されます。
ところどころに「久喜にずっと住み続けたい」という理念が発せられていました。
照明が明るくなると、いよいよ梅田市長の出番です。
非常にボリュームの厚い内容なので、要点だけかいつまんでお話すると、このような発表がありました。
久喜を良くしたい・市政の9つの柱(目標)
1.若者の定住を促進する
・活躍の場を創出するだけでなく、市をあげた婚活支援や、産婦人科の誘致、補助金政策など
2.駅前市街地の整備、土地の高度利用の促進
・東口周辺の用途地域の見直し、南栗橋駅西口への住戸供給、東鷲宮日口の用途地域・都市計画見直し
・菖蒲地区の空き家対策や有効活用
3.圏央道ジャンクションを中心に物流拠点を想定したインフラ整備
・久喜東停車場線の延線
4.新たなビジネスに挑戦する起業家への支援、女性創業支援
・ビジネスコンテストの実施や起業家の育成
5.市民ランナーの聖地化など、スポーツ振興策の推進
・聖火リレーの誘致活動、事前キャンプ地の候補地に名乗り、菖蒲地区を扱ったマラソン大会の復活
6.地域の産業促進、企業誘致
・合併10周年を記念したプレミアム商品券発行:市民にいきわたるよう工夫する
・シティーセールスの推進、市の魅力を世界へ発信
7.行財政改革
・旅券発行、理科大跡地の活用
・すべての子ども達にチャンスのある教育環境、英検の検定料を全額補助、全中学生に放課後の学習支援
・3人目以降の学校給食費全額補助
8.農業の6次産業化、観光農園の整備を促進
・明日の農業の担い手を育成する塾の開設、6次産業の支援(※)
9.シニア世代が更に輝き活躍する久喜市を創造する
・健康寿命No.1都市へ
・若いうちから運動を習慣化、成人歯科・健康診断の取り組み
プレミアム商品券や、子供たちへの補助制度は、今年度からすぐに始まることなので、知り合いにすぐに教えたくなります。
※農業の6次産業
・1次産業は「農業生産」、2次産業は「加工販売」、3次産業は「流通」「販売」。これを上流から下流まで総合的に行うことを、1次+2次+3次の足し算(もしくは掛け算1x2x3)になぞらえて6次産業と言っている。
令和元年(H31年)度の当初予算
令和元年(H31年)度の当初予算は、2度の補正予算を経て、一般会計で 520億1074万4000円。前年比(約4.2%:編集部調べ)。
当報告会の時点では、511億6,000万円。対前年度比で2.5%増との発表でしたが、下記の案件が加わったことで、後になって確認した際には、増額になったことがわかりました。
(補正予算第1号で追加)
・風しんに関する追加的対策の実施に伴う「予防接種事業」及び「健康管理システム運用事業」
(補正予算第2号で追加)
・学校給食センター及びごみ処理施設の整備に要する経費(学校給食センター整備事業、ごみ処理施設整備推進事業)
・消費税率の引上げに伴い低所得者や子育て世帯等の消費に与える影響を緩和するために要する経費(プレミアム付商品券発行事業、未婚の児童扶養手当受給者に対する臨時・特別給付金給付事業、介護保険特別会計繰出事業)
・幼児教育・保育の無償化の実施に要する経費(幼児教育・保育無償化実施事業、障害児通所給付費事業)
・令和元年5月4日に発生した降ひょうに伴う農業被害を軽減するために要する経費(農業経営安定推進事業)等
(国立国会図書館HP:久喜市予算の概要について)
(国立国会図書館HP:久喜市予算の概要(ダイジェスト版)について)
なお梅田市長によると、市民の増加により市民税も増えている。との説明があったので、久喜市HPで世帯数を調べてみたところ・・・
H31年4月: 66,251世帯
H26年4月: 62,251世帯(5年前)
このように、世帯数は4000世帯も増えていました。
久喜市の2大事業 -編集部がピックアップ
このように報告会では、数多くの施策について紹介がありました。
限られた時間のなかで、農業政策あり、商業政策ありと、テンポよく話は進んでいきます。
そのなかから市民生活に大きく関係するものを、2点に絞ってご紹介します。
注目1)新ごみ処理施設の計画
市内にある3ヶ所のごみ処理施設が老朽化していることから、新しい処理施設を建設する計画が予定されています。
市長としては、費用対効果を考えて持続可能な取り組みを目指しているとのこと。
新しくなることで、効率性の改善や、焼却時のエネルギーの発電による売電の可能性もあるそうです。
なお、3ヶ所ある清掃センターは1か所に統合する見込みです。
ゴミの分別についても、一定の緩和を検討するそうです。
注目2)学校統廃合
駅から離れている地区では「1学年で1クラスしかない」学校が点在するだけに、毎年「どうなるの?」と心配なご家庭があると思います。
今回の報告会では、
令和3年(平成33年)4月から、江面第2小学校が、江面第1小学校に統合されることを正式に決定、との発表がありました。
市内での入学者数の数は、上内小学校は1年生が5名のところ、桜田小学校では138名と大きな開きがあります。
市長の考えでは、小学校で2学年を合わせて16人ほどの複式学級になっているケースは解消したい、また中学校の場合は学校全体で5学級以下になる場合は学校統合の対象を考えているとのことでした。
令和4年(平成34年)4月から、菖蒲南中学校を、菖蒲中学校へ統廃合するという案が出ているそうですが、これは慎重に検討を重ねている最中とのことです。(3月24日時点)
質問コーナーの様子
さて、梅田市長からひととおりの報告を伺ったあとは、質疑応答の時間が用意されていました。
コーナーの合間には、市長から司会者に向けて「時間の許す限り多くの方に発言していただきたいので、ギリギリまで時間を使ってほしい」という声かけが何度も繰り返され、多くの意見交換がされました。
たとえば、参加者の方からは次のような陳情や意見が聞かれました。
・農業の後継者問題が育たない
・空き家が増えているので市での対策を
・圏央道の騒音に悩まされている
・子どもの医療費補助を18歳未満まで拡大してもらえないか
・観光計画で持ち上がっている、冬の田んぼをコウノトリの餌場にする計画についての現地目線での意見
・本田静六氏の生誕地であることを観光資源にできないか
・菖蒲地区の市街化の見直し
・学校のありかたについて
・理科大跡地について
・ゴミ処理施設について
まとめ
「市政報告」では、普段困っている事について、質疑応答を通じて、直接市長に投げかけることができます。
参加すると、この距離感の近さに、まず驚かされます。
しかも梅田市長はニコニコととても話しやすく、更にやりとりの中で「久喜市をずっと住んでもらえる良い街にしたい」という想いが伝わります。
活発な意見交換は、どれも久喜市に関する話題なので、どの話も興味深いものがありました。
声をあげないと、政治家の皆さんはなかなか気づくことができません。こういった機会を通じて、自から発することはとても大切だと感じます。
政治参加となると敷居が高く感じますが、地域の方々に混ざって市長が参加する会に加わってみることで、行政サービスのなかでも身近な、子供の通う小学校や、地域で使う公園や道路、水道、そして地域に繋がっている自分たち家族の暮らしがより良く変えていける可能性を感じました。
最後になりますが、主催者側から「久喜市をもっと良くする会」の紹介がありましたが、強い勧誘は一切ありませんでした。
このように沢山の方が集まる市政報告は、政治参加としてはハードルがかなり低い部類になります。
この市長を選んで良かったか、この市長に任せて良かったか、税金を払っているけれどその価値はあったのか、2時間の参加で伝わる部分がきっとあるはず。自分の住んでいる久喜市がどのような形に変わっていこうとしているのか、その熱量も伝わってくるので、ご興味があればぜひご参加ください。