久喜市議会「条例」賛成多数で可決
市役所新庁舎と子育て支援機能や保健機能などを併合して一体的に建設する内容を盛り込んだ「久喜市新総合複合施設整備検討委員会条例」が3月の定例議会で新政久喜、政策の会くき、公明の各会派の賛成多数で可決された。これによって今年4月以降、市民代表や有識者で構成する「検討委員会」が今後2年かけて”新総合複合施設”をどこの場所に、どんなものを作ったらいいのかの審議を始めることになった。
2年かけて建設場所やコンセプト等を検討
”新総合複合施設構想”は、人口減少時代に入った現在、無駄を省き、今後の財政運営をより健全なものにしていくうえで自治体が保有する公共施設はどうあるべきか―――全国の自治体が抱える共通の喫緊課題への挑戦ともいえる。
梅田修一・久喜市長は3年前の就任以来「老朽した公共施設の統廃合や用途が重複している施設の集約は、長期的な財政支出の削減を図るうえでも、アセットマネジメント(資産管理)を適切に推進するうえでも絶対に必要」との持論をこれまで議会等で述べてきた。
昨年11月の議会では更に踏み込んで、現在分散している行政機能を1か所に集約して市民への利便性向上を図る”ワンストップサービス”を提供することや、東京理科大跡地に計画していた子育て支援施設や子ども図書館、保健センターなど、長年市民から強く要望されている公共機関を複合施設に誘致し、新市庁舎と一体的に建設する構想を表明。その完成年度時期を有利な財源「合併推進債」の活用可能期限となっている2029(令和11)年度までに行いたいとも語っていた。
今年3月議会では職員幹部もこの考え方に同調し「新総合複合施設の建設は必要と内部でも結論を得た。行政機能が分散配置となっていて市民サービスも低下している。一昨年の台風19号では脆弱な防災体制が露呈した。庁舎の狭小化で職員の増員も図れない」といった趣旨の発言を述べ(小林広昭・財政部長・当時)、市長と一体となって新総合複合施設の建設に邁進する姿勢を明らかにした。
29年度までに新庁舎建設へ
今回可決した「久喜市新総合複合施設整備検討委員会条例」は2029年度までに新総合複合施設を建設するうえで言わば”エンジン”的存在だ。
条例は9条で構成。その骨子は市が議会に説明した内容を総合すると(1)新総合複合施設の基本構想の策定等を審議する検討委員会の委員は12人以内とする(2)委員は公募による市民、市内各種団体を代表する者、学識経験を有する者で構成し、市長が委嘱する(3)委員に諮問する内容は新総合複合施設のコンセプト、それに基づき誘致すべき公共機関、候補地の選定の3つで任期は2年間とした。
議会の声も聞け 付帯決議を採択
なお条例採択後、議会は緊急動議を提出。岡崎克己(公明)、宮崎利造(新政)、上條哲弘(政策)の各会派代表が連名で「市長は合併協定書を最大限尊重するとともに議会の意見を聞くことを強く求める」という内容を記した付帯決議案を出した。これは起立多数で可決された。
記事:農時新聞 2021年5月12日号
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