久喜でもっとも古い畳屋さん、坂田畳店。
140年を超える歴史を誇り、代々受け継がれてきた技術とこだわりが息づいています。

しかし、坂田畳店の畳は、ただ伝統を守るだけではありません。
時代に合わせた新しい取り組みを通じて、畳の魅力を広げ続けています。
今回は、地元久喜の暮らしに寄り添い、畳をより身近な存在にしていく坂田畳店のものづくりをご紹介します。

久喜の歴史とともに歩んできた坂田畳店

久喜の駅前から少し歩くと、坂田畳店の前に差し掛かります。そのガラス張りの窓からは、畳作りがおこなわれている作業場の様子が見え、職人が真剣にものづくりに取り組む姿が目を引きます。今回は、そんな作業場にもお邪魔させていただきました。

一歩足を踏み入れると、い草の香りがふんわりと広がり、その清々しい匂いに包まれます。今回は、坂田畳店の6代目、坂田純平さんにお話を伺いました。

純平さんは、高校卒業後、家業を継ぐために修行を始めました。都内の畳専門学校にも通いながら技術を磨き、より良いものづくりを目指して「畳製作技能士」の資格も取得
畳職人として必須ではないこの資格に挑戦したのは、技術を磨き続けたいという思いからでした。

祖父や父から受け継いだ技術は、決して甘くなく、時には職人同士のこだわりがぶつかることもあったそうです。畳作りの方法は職人ごとに違い、その考え方の違いが時には激しい議論に発展することも。とはいえ、誰もが目指すのは「より良いものを作る」という一点に尽きます。
お互いに妥協せず、最高の品質を追求する。その姿勢こそが、坂田畳店の長い歴史を支えてきたのだと感じました。

「これだけ長く続けられてきた秘訣は何だと思いますか?」 そう尋ねると、純平さんは少し考えてから答えてくれました。「ご先祖様の代から、いい加減な仕事をしてこなかったことだと思います。」

その言葉には、ただ技術を受け継ぐだけではなく、店の信頼と誇りを守り続けてきた重みがありました。
畳づくりに対する誠実な姿勢は、坂田畳店ならではのこだわりです。 「良い畳とは何か?」 を知ることが、お客様にとっても大切だと純平さんは言います。

畳屋さんが教えてくれる、良い畳の見分け方とは?

畳表の種類によって、畳の価格や質感は大きく変わります。
けれど、素人にはその違いが分かりづらいもの。そこで、純平さんは、お客様に4種類の畳表を実際に触ってもらい、違いを体感してもらう工夫をしています。(ちなみに、新しい畳ほど青みがかった色をしていますが、今回の比較では色ではなく、厚みや織りの違いを見極めるポイントを教えてもらいました。)

「折りたたんでみてください。違いがすぐにわかりますよ。」
純平さんにそう言われ、実際に試してみると、確かに厚みが違う!
手に伝わる感触も、しっかりとしていて、底付き感が少ないのです。

また、畳表は、い草を原料に、経糸(たていと)に綿糸もしくは麻糸を使って織られますが、その糸によっても違いが出ます。

写真の上にある茶色がかった畳表は、白い綿糸のみを使用。対して、下の青緑の畳表は、茶色い麻糸と白い綿糸を組み合わせて織られています。

綿糸のみの畳表は価格が手頃ですが、麻糸を使ったものは織りがしっかりしていて丈夫なため、耐久性に優れています。長く使うことを考えると、麻糸入りの畳を選ぶ方も多いそうです。純平さんは、「もしも安い畳を見せて、『これがいくらです』と言っても、お客様はそれをそのまま信じてしまう。しかし、そんないい加減なことはできない。必ず、違いを説明して納得してもらうんです」と語ってくれました。

畳はただの床材ではなく、家族が長年過ごす空間の一部。坂田畳店の職人たちの誇りとこだわりが、まさにこの姿勢にあらわれています。

い草 or ビニール? それぞれの魅力を知ろう

畳表には、昔ながらの「い草」のほか、ビニールや和紙を使ったものもあります。国産い草の多くは熊本県産で、香りや手触りの良さが魅力です。

一方、ビニール製の畳表は、水や汚れに強く、お手入れが簡単。カラーバリエーションも豊富で、遊び心のあるデザインも楽しめます。

また、最近では「縁なし畳」の依頼も増えています。これは、従来の長方形の畳とは異なり、正方形の畳をタイルのように敷き詰めるスタイル。モダンな雰囲気に仕上がります。

さらに、ペットを飼っている家庭向けに、爪が引っ掛かりにくい「わんにゃん畳」など、用途に合わせた種類も選べるそうです。

精巧な畳づくりを支える、昔ながらの道具たち

純平さんは、畳づくりに欠かせない道具も見せてくれました。

長年の使用で一回り小さくなった畳切包丁。畳を作る台は40年近く使い続けているもの。どちらも、使い込まれたからこそ職人の手に馴染み、欠かせない道具になっています。

畳づくりに使う待ち針も驚くほど大きいです。畳づくりは力が必要で、繊細な仕事の中にも職人の力強さを感じます。

定規も使いますが、最も頼りにするのは職人の手。
手を定規代わりにし、感覚で微調整をしながら仕上げていくのです。機械も導入されていますが、最後の仕上げは必ず職人の手作業。
畳づくりは、実はミリ単位の精密な仕事。一見まっすぐに見える部屋の枠も、微妙に歪んでいることが多く、隙間なく美しく収めるには熟練の技が求められます。
「畳をはがせば、その職人の個性と仕事ぶりが一目で分かる」と純平さん。道具と手仕事が支える畳づくりには、職人の技と誇りが詰まっていました。

畳の新たな魅力を発見!おしゃれで親しみやすい畳アクセサリー

「もっと畳を身近に感じてもらいたい」——そんな想いから、坂田畳店の6代目純平さんは、畳素材を使ったアクセサリー作りに取り組んでいます。

コースターから始まった、新しい畳のかたち

最初に手がけたのはコースター。沖縄料理店からのリクエストで、ハイビスカス柄の畳縁とビニール畳を組み合わせたものを作ったのが始まりでした。それが好評を博し、今では何十種類ものバリエーションが生まれています。小さな畳を扱うのは試行錯誤の連続でしたが、その経験から本業の畳の張替えに活かせるアイデアも得たそうです。

畳縁を活かした、おしゃれなヘアゴム

さらに、畳縁を活用したヘアゴムも制作。一見すると畳の素材とは思えないほどおしゃれで、和モダンな柄が目を引きます。これ一つでコーディネートのアクセントにもなるデザインで、ミシンを使い、一つひとつ丁寧に仕上げています。

私も今回、このヘアゴムを購入しました。さっそく使ってみたところ、友人から「こんなの見たことない!」と大好評でした!

親子で楽しめる「コースター作り体験」

また、坂田畳店では子ども向けに「簡単コースター作り体験」も実施。マルシェなどのイベントで開催され、子どもたちが実際に畳やい草に触れる機会になっています。

「アクセサリーを手に取ったとき、ふと坂田畳店のことを思い出してもらえたらうれしい」
そんな願いも込められた畳アクセサリーは、久喜市の菓子店「こうまつや もっちり庵」や、坂田畳店が出店するマルシェなどで購入可能。最新の販売情報は、坂田畳店のInstagramでチェックしてみてください!

坂田畳店でお家の畳を変えてみませんか?

畳は 5年ほどで表裏返すのが理想的。見た目がきれいでも、裏側にシミができていることもあるそうです。日頃のお手入れは、こまめな換気と掃除機がけだけでも十分。ちょっとした工夫で畳を長持ちさせることができます。
「そろそろ畳を替えようかな?」と思ったら、ぜひ坂田畳店に相談してみてください。職人たちが、あなたの暮らしにぴったりの畳を提案してくれるはずです!


坂田畳店
住所:埼玉県久喜市本町2丁目15-16
アクセス:JR東北本線・東武伊勢崎線「久喜駅」徒歩約15分
TEL:0480-21-1008
営業時間:8:30~18:30(土曜のみ9:00~17:00)
定休日:日曜日、祝日

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こちらで紹介された「こうまつや もっちり庵」に行ってみませんか?

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