今回は、久喜市で長年地域に根ざした歯科医療を提供している野村歯科医院の野村弘道先生にお話を伺いました。地域の人々に寄り添いながら診療を続けてきた想いをお聞きしました。歯の健康を守るための大切なポイントや、歯医者が苦手な方へのアドバイスもいただいたので、ぜひ最後までご覧ください!

歯科医を目指したきっかけ
――まず、先生が歯科医を目指したきっかけを教えてください。
私が子どもの頃、地元には歯医者が二軒ぐらいしかなくてね。今みたいに予約なんてなく、朝早くから親が並んで番号札を取らないと、診てもらえなかったんです。痛くても、その日の枠が埋まっていたら見てもらえない。そんな時代でした。
その頃、私は満員電車がとにかく苦手でね(笑)。ぎゅうぎゅう詰めの電車に乗るくらいなら、自営業の方がいいなと子どもながらに思っていたんです。
そんなときに将来のことについて父と話すなかで、『これからの時代は医療がもっと必要になる』という話がよく出ていて、だんだんと医療に興味をもっていくようになりました。
幼少期は「昔ながらのやんちゃ坊主」
――幼少期はどんなお子さんだってんですか?
今の時代じゃ考えられないかもしれないけど、田んぼに入って泥だらけになったり、近所の畑で友達とかくれんぼをしたり、時にはいたずらして大人に怒られたり…そんな毎日でしたね。近所の大人たちも厳しくて、『こら!』ってよく怒鳴られていましたけど、その分、地域の人たちに見守られながら育った実感はあります。
そんな地域で育ったからこそ、歯科医として戻ってきたときには、すでに厚い信頼が築かれていたのかもしれませんね。
なぜ久喜市で開業をしたのか
――先生が久喜市で開業されたのは平成4年と伺いました。開業を決めた経緯を教えてください。
私はこの土地で生まれ育ったので、開業するならやっぱり地元だろうな、という思いはありました。
とはいえ、歯科医院を開業するにあたって、駅前などの人が集まりやすい場所にするか、それとも自宅の近くにするかは少し悩みました。
でも決め手だったのは、私の祖母や両親がずっとこの地で暮らしてきたことも大きかったんです。祖母はずっと『お前は18代目だ』と、事あるごとに言っていました。だからこそ開業するときに家業もやっていかなきゃならないんだろうなと思っていて、だったらどっちも近い方がいいよねってことで、今の場所に建てることにしたんです。
――子どもの頃を知っている子が歯科医になって開業するとなれば地域の人も安心・信頼して通えたんじゃないですか?
開業を決めた時に地元の知り合いに話すと「待ってる」と言ってくださる方が多くて、本当に嬉しかったですね。そして、ありがたいことに、開業するとすぐに地域の方が多く訪れてくれたんです。
『あの子が歯医者になって帰ってきたんだね』と声をかけてくれることもありました。田んぼや畑で遊んでいた少年が、今度は歯医者として皆さんの健康を支える立場になる。その変化を見守ってくれる人がいるのは、とても心強かったですね。
開業してすぐに感じたのは、「一方通行の治療」
――しかし、開業してすぐに感じたのは、「一方通行の治療」ということだったそうです。
歯科治療は基本的に、一度削って詰めたら、元には戻らない“後戻りできない”治療がほとんどです。つまり、歯を大切にするには、何よりも“予防”が大切だと改めて実感しました。そのため、開業当初から定期健診やセルフケアの重要性を伝え続けています。自宅でのセルフケア(歯磨きの重要性)はもちろん、定期的な(歯科での)プロフェッショナルケアを受けることが大切なんです。だから、最低でも半年に一回、できれば年に一度は歯医者に行ってメンテナンスを受ける。それが長く健康な歯を保つ秘訣です。
歯科医として大切にしていること
――歯科医として特に大切にしていることは?
開業して33年になりますが、何より大切にしてきたのは『丁寧な診療』です。最先端の治療を追いかけることも大事ですが、それ以上に患者さん一人ひとりと向き合い、できる限りのケアを提供することを心がけています。
――歯科医のやりがいについてもお聞きしたいです。
医療の仕事はどれもそうですが、患者さんに『ありがとう』と言われる瞬間が一番のやりがいです。痛みを抱えて来院された方が、治療後にスッキリして帰る。それを見るたびに、この仕事をやっていてよかったなと思いますね。
――歯科に行くのが苦手な方に向けてメッセージをお願いします。
今は鎮静療法などの技術も発展していて、痛みや恐怖を軽減できる方法が増えています。うちでは、できるだけ丁寧に説明して、不安を取り除くことを大切にしています。『歯医者が怖い』という方こそ、一度相談に来ていただければと思いますね。

今後の展望
――今後の展望についてお聞かせください。
流行りの最先端治療を取り入れることも大事ですが、それよりも、一人ひとりの患者さんにじっくり向き合うことの方が大切だと思っています。昔からの知り合いが多い地域だからこそ、信頼を裏切らない治療を提供し続けることが使命だと感じています。
娘も歯科大学で学びながら免許を取得しました。まだ、ここを継ぐかどうかはまだ分かりません。でも、それはそれでいいんです。今の時代、親が子どもの進路を決めるものではないですからね。
ーー(そう話す口ぶりからは、もし継いでくれるなら嬉しいという親としての思いも感じました。)
歯科医を「できる限り続けていきたい」
「歯科医には定年がありません。自分の体が許す限り、診療を続けたいですね。これからも地域の方々の健康を支えるために、自分にできることを精一杯やっていきたいと思っています。」
長年にわたり築いてきた信頼と、地域への思い。これからも変わることなく、患者一人ひとりに寄り添いながら、その使命を果たしていく姿を感じることができました。
野村歯科医院
営業時間 9:00~12:00、14:00~19:00(土曜日は18:00まで)
休 診 日 木曜日、日曜日、祝祭日
電話番号 0480-52-2100
住 所 久喜市東大輪11535

関連記事
すまいの相談窓口infoでは久喜市内の歯科、歯医者もご紹介しています♪