先日、令和9年(2027年)4月の稼働を目指して建設が進んでいる「新ごみ処理施設・余熱利用施設・(仮称)本多静六博士記念公園」の現場見学会に参加してきました。もう来年には完成・・・!
「ゴミ処理場」と聞くと、少しネガティブなイメージを持つ方もいるかもしれませんが、今回の見学でその考えがガラっと変わりました。周辺環境への徹底した配慮と、市民が楽しめる仕掛けが満載の新施設、その全貌をレポートします!
ゴミ処理施設ではなく「エネルギー回収施設」
この新施設は、燃やせるごみとプラスチック製容器包装を処理し、出てくる熱エネルギーを電気や温水に変えて余熱利用施設で再利用する「エネルギー回収施設」となっています。
浸水にも備え、重要設備を高い位置に置くなど災害対策を強化し、運転状況も発信して地域と共生します。
日本最大級!最新の複合型プロジェクト
今回のプロジェクト、実は規模がすごいんです。
敷地面積を全国の施設と比較しても、そのスケール感がわかります。
| 施設名 | 敷地面積(約) | 特徴 |
| 新江東清掃工場(東京) | 61,000㎡ | 日本最大。工場単体で巨大。 |
| 久喜・新施設(埼玉) | 40,000㎡ | 公園・広場を含む複合型施設。 |
| 舞洲工場(大阪) | 33,000㎡ | 観光名所にもなっている大規模施設。 |
大阪で有名な舞洲工場よりも大きく、複合型施設としては間違いなく日本最大級のプロジェクトの一つと言えます。
この施設は、単なる工場ではなく、再利用施設や広大な公園を含めた「巨大なコミュニティ拠点」です。
見学・体験レポート
「新ごみ処理施設・余熱利用施設・(仮称)本多静六博士記念公園」に実際に伺って、体験して感じたことをお伝えいたします。

1. 「臭わない・混まない」への徹底したこだわり
徹底した「外」と「中」へのニオイ・景観対策
今回の見学会で最も驚いたのが、ゴミ収集車の搬入路をトンネル化している点です。これは、周辺環境への臭気や騒音の漏洩を防止するだけでなく、ゴミ収集車の出入り口を隠すことで景観を美しく保つための工夫だそうです 。

当初、私は「トンネルで物理的にニオイを遮断する」と思っていました。しかし、説明を聞くと、一般市民がゴミを直接持ち込む際もこのトンネルを通る動線になっているというのです 。

ここで一つの疑問が浮かびました。 「トンネルの内部はゴミのニオイが充満してしまうのではないか? 車で通る時にニオイが入ったりでたりするのでは?」
そこで現場の方に質問したところ、実にスマートな対策が施されていました。
ゴミを降ろす「プラットホーム」や「トンネル」の間にそれぞれエアカーテンを設置することで、トンネル内部にニオイを留めない設計になっているとのこと。トンネル化で「外(景観)」を守り、エアカーテンで「中(清潔な空気)」も快適に保つ。この二段構えの対策を聞き、自家用車で持ち込む際も不快な思いをせずに済むのだと安心しました。

2. 本多静六博士の精神が息づく「(仮称)本多静六博士記念公園」
本多静六博士は、久喜市(旧菖蒲町)出身の日本近代公園の父として知られています。東京の日比谷公園や明治神宮の森の設計に携わった偉大な先人であり、その功績を顕彰するため、この新しい公園には博士の名前が冠されました。
この公園では、博士が提唱した自然本来の力を活かす「天然更新」という考え方を、これからの公園の核に据えています。
博士が考えた「天然更新」とは?
一般的に公園といえば、人間が計画的に植樹し、綺麗に手入れし続けるイメージがありますが、天然更新は少し異なります。
- 地域の木を植える: その土地の気候や土壌に適した、周辺でよく見かける樹種を植栽します。
- 自然の力で世代交代: 人間の手を極力かけず、自然の力だけで木々が育ち、種を落として次の世代へと繋いでいくサイクルを見守ります。
「人間に管理される森」ではなく、「自ら育ち続ける森」を目指す。そんな博士の哲学を全身で味わえるよう、公園内には森の息吹を感じながら巡るランニング・ウォーキングコースも整備されます。
家族全員で楽しめる「賑わいの拠点」へ
天然更新の森をバックに、公園内には市民が楽しめる多彩なエリアが誕生する予定です。

| 水遊び場 |
| 暑い時期に嬉しい「じゃぶじゃぶ池」や噴水も設置され、子どもたちの笑い声が絶えない場所になりそうです。 |
| 多目的広場 |
| 広大な芝生広場が広がり、キッチンカーが来たり、イベントが開催されたりと、新たな賑わいの場所になる予定です。 |
| バーベキュー施設 |
| 機材レンタルや食材提供もあり、手ぶらでアウトドアを楽しめます。 |
| 子どもたちに人気の遊具 |
| ぴょんぴょん跳ねて遊べる「ふわふわドーム」。 |
建物が出来上がった後に盛り土をしてスロープ状にする予定で、建物と地面がなだらかに繋がり、周囲の風景を崩さない一体感のある設計になっています 。
障がいの有無に関わらず、あらゆる子が一緒に遊べる「インクルーシブ遊具」もあり、だれもひとりにさせない温かい施設だなと感じました。

余熱啓発棟と公園が地続きで繋がっているので、どこからでも建物の中に入ったり公園側へ行き来ができるそうです。保護者の方が室内から子どもたちが公園で遊んでいる様子を見守ることができたりメリットがありそうですね。
夏休みの宿題にぴったり!2つの学習ゾーン
保護者として特に嬉しいのが、充実した見学コースです。
- ゴミ処理を学ぶゾーン
- リサイクルを学ぶゾーン
- カーボンニュートラルを学ぶゾーン

これらを楽しめる見学コースが用意されており、環境意識を高めるイベントや教室も開催予定です。

公園で遊んでいる最中に、ふとゴミ処理施設に興味を持って学習のきっかけになる。そんな自然な導線は、親としても非常に魅力的に感じました。
3. 楽しみな「余熱利用施設」!お風呂やプールの利用料は?
ゴミを燃やす際に出る熱(余熱)と電気を有効利用した、地上2階建ての多機能な施設が誕生します。
施設内には、以下のような充実したエリアが計画されています。
| 温浴施設 |
| 大浴場やサウナに加え、季節を感じられる露天風呂が整備されます 。さらに、湯上がりにゆっくりくつろげる広間(畳の間)も用意されます。 |
| トレーニングジム |
| 各種トレーニング機器が揃い、日常的な健康維持に活用できます。 |
| 多目的室 |
| 会議や、地域の方々が集まる各種教室などの場として幅広く利用可能です。 |
| 温水プール |
| 本格的な25mプールのほか、お子さんも楽しめる幼児用プールや流水プールが整備されます。 |
| フィットネススタジオ |
| ヨガなどの教室はもちろん、卓球台を置いてのスポーツも楽しめるようになっています。 |
| 飲食エリア |
| 運動や入浴の後にひと息つける、レストランやカフェも併設されます。 |
露天風呂では、菖蒲町ならではの「しょうぶ湯」や冬の「柚子風呂」など、季節ごとの楽しみも期待できそうです。
気になる「料金」と「アクセス」
利用料金については現在協議中ですが、久喜市民や近隣にお住まいの方が、遠方から来られる方よりもお得に利用できる料金設定を予定しているとのことです。
また、現在は乗り継ぎが必要なアクセス面も、施設がオープンする頃には、一部の路線バスや循環バスのルート変更が行われる計画です。よりスムーズに施設まで通えるようになるのは嬉しいニュースですね。
4. エネルギーを無駄にしない!進化したゴミ処理機能
これまで、久喜宮代・菖蒲・八甫の3つの清掃センターでは、ゴミ焼却時に発生する熱エネルギーを十分に活用しきれていないという課題がありました。



| 施設名 | 久喜宮代清掃センター | 菖蒲清掃センター | 八甫清掃センター |
| 稼働開始 | 1号炉 昭和50年稼働 2号炉 昭和55年稼働 | 平成元年稼働 | 昭和63年稼働 |
| 処理能力 | 150t/ 日 | 30t/ 日 | 105t/ 日 |
新施設ではこの課題を解消し、1日に155tのゴミの処理を行うとともに最新の発電設備を導入することで20,500 MWh/年(一般家庭約4,600世帯分相当)もの発電が可能になります。
また建設する際には、周辺に住む市民と充分に協議し、「周辺環境と調和した施設であること」「迷惑施設と呼ばれない施設にすること」を条件とした施設となっています。
現在の3施設のごみ処理費、年間29億円に対し、新ごみ処理施設では年間14億円の削減、温室効果ガス排出量では8,800t-co2も削減されます。
「ゴミ処理場にお金をかけすぎだ」というクレームもあったと聞いていますが、実際に誘致される周辺住民との約束や、20年間で280億円ランニングコストが削減されることを考えれば、まったく誤った指摘だ、と感じました。

創った電気のゆくえ
この施設で生まれる膨大なエネルギーは、余熱利用施設を動かすために使われるだけでなく、余った分も無駄にはしません。
- 新電力会社への売却: 余剰電力は久喜市が展開している新電力会社へと売却されます。
- 公共施設での再利用: 売却された電気は、市内の公共施設の電力として充てられる計画です。
ゴミから生まれたエネルギーが、自分たちの街の公共施設を動かす。まさに「エネルギーの地産地消」が実現することになります。
災害時には「地域の灯台」に
さらに心強いのが、防災拠点としての機能です。
仮に、利根川などが氾濫したとしても避難できる施設として機能するように、3mもの盛り土をして、やや高台になるように設計されています。
この施設はゴミ処理場自体が発電しているため、災害時での停電時でも工場が稼働していれば自ら電気を起こし続けることができます。
万が一の災害時、真っ暗な街の中でも、煙突をライトアップし、明かりを灯し続けることで、「あそこに行けば大丈夫」と思える地域の灯台としての役割を果たす計画だそうです。
市民の憩いの場であると同時に、いざという時の地域の守り神にもなる。これこそが「周辺環境と調和する施設」の真の姿だと感じました。

【重要】ごみの分別方法が変わります!
施設が新しくなることに伴い、2026年(令和8年)12月の試運転開始に合わせて、全地区でゴミの分別が統一されます。※施設オープン自体は2027年4月からですが、ゴミの分別は先行してスタートするイメージだそうです。
燃やせるゴミ
生ゴミ+容リプラ+プラ製品
ペットボトル+瓶+缶
(すべて同じ袋でOK)
透明(半透明)の袋に入れる
プラスチック全般が「燃やせるごみ」に統合されるなど、本当に分別が楽になり、市民は便利になります。
不動産会社としても、お客様にこういったことをご案内し、久喜への転居を力強く後押し出来そうです!
詳細は今後、市から発信される情報をチェックしましょう!
見学を終えて

今回の見学会を通じて、「ゴミ処理施設」が単なる処分場ではなく、「周辺環境と調和し、迷惑施設と呼ばれないエネルギー回収施設」へと進化しようとしている、そんなテクノロジーの進化と、このプロジェクトに参加している方々の情熱を肌で感じることができました。
「トンネル+エアカーテン」による徹底した防臭対策、博士の精神を受け継ぐ「天然更新」の森、そして熱エネルギーを再利用施設や公共施設に還元する仕組み。
この施設が完成すれば、「ただゴミを持っていく」だけでなく、「ついでに家族が一日中楽しめる、街の自慢の拠点」に変わるはず。令和9年4月のオープンが、今から本当に待ち遠しいです!
