漢方の魅力をより広めたいと一念発起 =広大な庭で生薬づくりにも挑戦=
西洋医学のように白か黒の二項対立で治療を判断するのではなく、その中間にも正解はあるという日本独特の伝統医学「漢方」が、ストレス社会の現代、改めて注目を集めている。そんななか、その“漢方”を表看板に掲げた診療所「やまざき漢方内科診療所」が11月2日、久喜市島川55-1に開院し、話題となっている。
同診療所を開院したのは8年前に済生会栗橋病院に内科漢方外来を立ち上げた女医・山﨑麻由子さん。山﨑さんは現在も済生会加須病院と母校・東京女子医科大で内科漢方外来の医師として勤務しているが、より自分が求める医療を目指したいと一念発起で診療所を開設した。
山﨑さんのその思いとは「患者さん1人1人が持っている自然治癒力をもっともっと引き出すお手伝いをしたい」ということ、漢方医学が重視する概念である「心身一如」(心身は一体)という考えをベースに、患者さんにより寄り添った診療の実践だ。
かつて漢方医の師匠から言われた言葉が気に入っている。
「漢方はお釣りのくる医療です」
つまり、本病以外の未病まで治ってしまうということ。山﨑さんも実際に下痢の患者さんが持病の多汗症まで完治した実例を体験した。同診療所のコンセプトを尋ねると「土に近い診療所」との答えが返ってきた。その心は何かと問うと、医学の父ヒポクラテスの名言「人は自然から遠ざかれば遠ざかるほど病に近づく」を持ち出した。「お薬だけで治療しようという時代ではなくなってきた気がする」と話し、ヒポクラテスの訓戒に従って、自然をふんだんに採り入れた新たな医療活動にも取り組む。その構想の一端を伺うと、診療所前に作った約53坪の広大な庭を活用して、そこに漢方の生薬となる草木を植え、患者さんのための薬草園にして、生薬づくりを楽しんでもらうプランを挙げた。
また無農薬でお米や野菜を栽培している近郊農家とタイアップしての農作業体験プランも取り入れたいという。「現代人は多忙で頭が疲れ切っているので田んぼに入って無になる時間を作れば元気になる」と効用に期待を掛ける。山﨑さんは「気軽に相談できる診療所にしたい」と微笑みながら意気込みを語った。
プロフィール
久喜市島川に漢方内科診療所開設
地域医療に長年貢献した医師 山﨑 由子さん
山﨑麻由子(やまざきまゆこ)
東京都目黒区出身。東京女子医科大卒。2003(平成15)年医師免許取得、専門腎臓内科。済生会栗橋病院、東京女子医科大病院、済生会加須病院で勤務。漢方医学の考え方、治療法、漢方薬の効果に魅せられ、
2015(平成27)年に漢方専門医の資格も取得。モットーは「そこに愛はあるか」。
好きな言葉は「無為自然」。趣味は土いじり、お料理。
農時新聞とは
農時新聞は、農業生産法人 誠農社が発行する フリーペーパーです。
地域の振興と活性化を目的に、毎号、久喜・加須を中心に地域の話題が掲載されています。
3面には”寄せ書きトークルーム”といった投稿コーナーなど、地元に密着した地域の情報が揃います。
4面には読者投稿の和歌コーナーやプレゼントも充実。
久喜・加須市民だけでなく、都心から郊外に移転を考えている方にとっても良い情報源です。
最新号およびバックナンバーは、発行元:誠農社のサイトでご覧いただけます。