--目次--

相続税対策に不動産が役立つという事を知っていますか?

相続税と不動産の関係とは?

「相続税ってこんなに高いの?」
相続が発生したご家族の多くが、申告や納税手続きの過程でその大きさに驚かれます。特に土地や建物といった不動産を所有している場合、評価額が高くなりやすく、納税額も跳ね上がることがあります。

一方で、相続税には「評価方法に特徴がある」という点があり、不動産の形で所有していることによって節税につながるケースも少なくありません。実際、相続税対策として不動産を活用する手法は多くの富裕層・資産家の間で一般的に行われている戦略でもあります。

本記事では、不動産を活用した相続税対策の考え方や具体的な方法、注意点を「わかりやすく」丁寧に解説します。不動産をすでに所有している方はもちろん、これから資産形成を考えている方にとっても必ず役立つ内容です。

相続税の仕組みと課税対象の基本

まず、相続税がどのように計算されるのか、その基本を押さえておきましょう。これを理解することで、不動産を活用するメリットがより明確になります。

● 相続税は「相続財産の評価額」に応じて課税される

相続税の金額は、被相続人(亡くなった方)が残した全財産の評価額をもとに計算されます。課税対象となる資産は以下の通りです。

  • 預貯金
  • 株式や債券
  • 不動産(土地・建物)
  • 家財、骨董品、車など
  • 生命保険金(一定条件)

つまり、「相続財産が多い=相続税も高くなる」という仕組みになっているのです。

● 基礎控除があるとはいえ、油断は禁物

相続税には一定の「基礎控除」があります。

基礎控除 = 3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

たとえば、相続人が配偶者と子2人の合計3人であれば、

3,000万円 +(600万円 × 3人)= 4,800万円

この金額までの相続財産には課税されません。

しかし、都市部で持ち家や土地を所有していると、この金額はすぐに超えてしまうケースも多く見られます。そこで重要になるのが、不動産の「評価方法」なのです。

不動産が相続税対策になる3つの理由

それでは、不動産が相続税対策に有効とされる理由を順番に見ていきましょう。大きく分けて3つのポイントがあります。

理由①:不動産は現金よりも「評価額」が低くなる

現金や預貯金はそのままの額で評価されるのに対し、不動産には相続税評価額という別基準があります。これは、実際の時価(市場価格)よりも低く設定されていることが多く、結果的に課税対象となる額を抑えることができるのです。

例:時価5,000万円の土地 → 相続税評価額 約4,000万円(=20%オフ)

現金で5,000万円を持っていたらそのまま5,000万円が課税対象になりますが、不動産に変えておけばその評価額が下がり、税金の負担も軽減される、という理屈です。

理由②:特例制度を活用すればさらに大幅減額も可能

相続税には「小規模宅地等の特例」という制度があります。

これは、被相続人の自宅や事業に使っていた土地について、一定面積まで評価額を最大80%も減額できる仕組みです。具体的には以下のような内容です。

用途減額率面積上限
居住用宅地80%330㎡まで
貸付事業用宅地50%200㎡まで

→ 評価額3,000万円の土地が、実質600万円まで圧縮できるケースも!

このように、「自宅」「賃貸住宅」「事業用地」といった用途で不動産を所有していることで、大きな節税効果が期待できます。

理由③:借入金による不動産購入で課税対象を減らせる

意外と知られていませんが、被相続人が負っていた**借金(債務)**は、相続財産の総額から差し引くことができます。

この仕組みを利用し、相続前に借入金を活用して不動産を購入しておくことで、以下のような効果が得られます。

不動産の相続税評価額(例:3,000万円)
− 借入金残高(例:2,000万円)
= 課税対象額:1,000万円

さらに、不動産の評価額自体も時価より下がっているため、**「ダブルで節税」**できるのが特徴です。

ただし、借入にはリスクも伴うため、後述の注意点の章で詳しく解説します。

不動産の評価減の仕組みを理解しよう

相続税の計算では、土地と建物それぞれに「評価額」が決まっています。そして、この評価額がいかに抑えられるかが、節税効果を左右するカギとなります。

ここでは、土地と建物それぞれの評価減の仕組みを解説します。

土地の評価方法:路線価方式と倍率方式

土地の評価方法には、主に次の2つがあります。

① 路線価方式(市街地や宅地に多い)

  • 国税庁が公表している「路線価」をベースに計算
  • 路線価 × 面積(㎡)で算出される
  • 路線価は一般に時価の80%程度

たとえば、ある道路に面した土地の路線価が「30万円/㎡」、その土地の面積が「100㎡」なら、

相続税評価額 = 30万円 × 100㎡ = 3,000万円

実際の取引価格が4,000万円であっても、評価額は抑えられることになります。

② 倍率方式(地方部などに多い)

  • 固定資産税評価額 × 倍率 で評価額を算出
  • 倍率は国税庁が地域ごとに定めている

こちらは路線価が設定されていない地域で使われる方式です。倍率は1.0~1.5倍程度が一般的です。

【参考】財産評価基準書|国税庁
https://www.rosenka.nta.go.jp

建物の評価方法:固定資産税評価額ベース

建物の評価は、土地とは異なり「固定資産税評価額」がそのまま用いられます。

  • 固定資産税評価額 = 建築費 × 約60%(新築時)
  • 通常は経年劣化で年々減額されていく
  • 3年ごとに評価替えが行われる(市区町村が実施)

→ 建物の評価額は年を追うごとに減っていくため、相続のタイミングによっては節税効果が高まることもあります。

賃貸物件(貸家)の評価減の仕組み

さらに節税効果を高める方法として、「貸家」の仕組みがあります。

賃貸に出している物件には、次のような評価減ルールが適用されます:

借家の評価額 = 固定資産税評価額 ×(1 − 借家権割合 × 賃貸割合)

借家権割合は30%が一般的です。たとえば、固定資産税評価額が4,000万円の貸家を100%賃貸している場合、

評価額 = 4,000万円 ×(1 − 0.3)= 2,800万円

→ 実に1,200万円の評価減!これにより相続税の節税が可能になります。

小規模宅地等の特例と賃貸運用の活用

ここからは、相続税の大幅な圧縮を可能にする制度「小規模宅地等の特例」と、賃貸物件との組み合わせによる活用術を解説します。

小規模宅地等の特例とは?

不動産を所有していた被相続人が亡くなった場合、その土地に対して一定の条件を満たせば、評価額を最大80%も減額できるのがこの制度です。

【適用条件の一例(居住用宅地)】

  • 被相続人が住んでいた土地(自宅)
  • 相続人がその土地に引き続き住む、もしくは配偶者
  • 面積:330㎡まで
  • 減額率:80%

例:評価額4,000万円の土地 → 4,000万円 ×(1 − 0.8)= 800万円
→ 3,200万円分が課税対象から除外されます

【参考】
国税庁|No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4124.htm

賃貸住宅にも特例が使える?

意外に知られていませんが、「賃貸物件の土地」にも特例が適用されるケースがあります。

【貸付事業用宅地の要件】

  • 被相続人が生前に賃貸経営をしていた
  • 貸家の土地であること
  • 面積:200㎡まで
  • 減額率:50%

たとえば、アパートを所有していて、その敷地面積が180㎡だった場合、評価額を50%減額できる可能性があります。

アパートやマンション経営による節税

上述のように、不動産をアパートやマンション等の賃貸に出すことで、自宅用に所有している場合よりも評価額を小さくすることができ、節税効果が得られます。

賃貸運用による評価額の抑制効果

上記「建物の評価減の仕組み」で解説したとおり、不動産を賃貸として運用している場合、下記のような計算で評価額を抑えることが可能です。

貸家の評価額減額= 借家権割合の30% ✕ 賃貸割合

《ポイント》
人気のある地域の物件は、時価が非常に高くなっている場合があります。
こうした際には、賃貸として運用していることによる現在金額の幅も大きなものとなります。

土地の売却による節税

次に紹介するのが、土地を売却することによる相続税対策です。

  • 自宅として使っていた土地を売却する方法
  • 放置中の土地を売却する方法

自宅として使っていた土地を売却する

土地を売却して得られた資金を用い、より「小規模宅地等の特例」の適用が大きなところへ引っ越しをすると、その分の節税効果を得られます。

また、自宅を売却した場合は、譲渡所得から3000万円までの控除を受けられる特例や、とくに10年以上所有していた自宅の売却であれば、譲渡所得にかかる税率を特例として軽減する制度(軽減税率の特例)などを活用することで、さらなる節税効果が期待できます。
ただし自宅を売却する場合は、引っ越し、住宅購入、登記関連など、かなり多くの手間が発生することは留め置いておいたほうがよいでしょう。

また、上記のような特例のうちどの制度が適用されるか、判断が難しいという点も、注意が必要な点です。

これらの特例制度は適用条件などが入り組んでいるため、検討する際は不動産業者など専門家に相談するのが一番の近道と言えます。

放置中の土地を売却する

更地のままの土地や、住人の居ない状態(空き家)で放置されている物件などは、それらを売却することで保有継続時にかかる税金や、維持管理のコスト・手間を減らすことができます。

その売却所得をベースに、ほかの収益不動産などに買い替えをすることで、節税効果を図ることが可能です。

とてもシンプルかつ合理的な方法であるため、売却は一見メリットばかりのようにも思えますが、更地や空き家はすぐに買い手がつくとは限りません。売却期間が長引けばその分余計に、管理維持費がかかります。

また物件の状態や立地などによっては、売却価格が想定よりも低くなってしまうことも十分に考えられるので心構えが必要です。

不動産活用の複合効果

このように、不動産には下記のような「節税トリプル効果」が働く場合があります:

項目節税の仕組み
1. 相続税評価額の抑制時価の80%で評価される
2. 賃貸による評価減借家権割合による圧縮が可能
3. 小規模宅地の特例評価額を最大80%減額できる

この3つを組み合わせて適用できれば、評価額が数千万円単位で下がることもあります。

借入金と不動産購入による高度な節税術

相続税対策として「不動産を購入すること」は一般的な戦略ですが、そこに**借入金(ローン)**を組み合わせることで、さらに強力な節税効果を生むことができます。

借入金は相続財産から控除できる

相続税の計算において、被相続人が残していた「債務」(借入金など)は、課税対象から差し引くことが可能です。これは、たとえ借入の目的が相続税対策であっても、原則的には認められています。

課税価格=相続財産総額 − 債務 − 葬式費用 − 基礎控除

つまり、借入金を活用して不動産を購入すれば、その不動産は評価額が下がりやすく、さらに借入分の債務が控除されるため、二重に課税対象額を下げられるわけです。

【具体例】不動産購入+借入の節税効果

たとえば、以下のようなケースを考えてみましょう。

  • 市場価格8,000万円の物件を購入
  • 自己資金:4,000万円、借入金:4,000万円
  • 相続時の残債:2,500万円
  • 不動産の評価額:時価の80% → 6,400万円

このとき、相続税の課税対象額は以下のように計算されます:

6,400万円 − 2,500万円(借入)= 3,900万円

さらに、アパートなど賃貸に出していた場合は、評価額がもっと下がるため、実質的な課税額はもっと低くなる可能性があります。

高度な節税術:他の資産の課税対象も圧縮できる

もう一つのポイントは、借入金は不動産に限定せず「相続財産全体」から控除できるという点です。

たとえば、現金や株式など他に高額資産があっても、借入金の控除によって、不動産以外の資産の相続税も軽減できる可能性があるのです。

このように、借入と不動産購入を組み合わせた節税術は、富裕層を中心に広く活用されています。ただし、借入にはリスクもあるため、次章では「否認リスク」や「注意点」を詳しく見ていきましょう。

【参考】国税庁|No.4126 相続財産から控除できる債務
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4126.htm

失敗しないための注意点・否認リスク

節税目的での不動産購入や借入金活用は有効な手段ですが、やり方を誤ると、税務署に否認されてしまうケースもあります。

ここでは、相続税対策において特に注意すべきポイントを解説します。

● 明らかに「節税目的」と認定されると否認されるリスク

国税庁は、近年「節税を目的とした不自然な取引」への監視を強めています。特に以下のようなケースは注意が必要です。

  • 融資書類に「相続税対策のため」と明記されている
  • 90歳を超える高齢者が新築アパートを購入
  • 実際に居住の意思や能力がないのに、自己居住用不動産として購入

これらは「形式上は合法でも、実態が節税目的である」と判断され、特例適用が否認された事例も報告されています。

→ 公的書類には不用意に“相続税対策”と書かない、年齢や健康状態と矛盾する投資行動を避けるなど、リスクヘッジが必要です。

● 借入の過度な利用は資産圧縮どころか負債リスクに

相続税対策のためとはいえ、過度な借入を行うと返済に苦しんだり、不動産の収益性が低く損失を被ったりすることもあります。

  • アパート経営の空室リスク
  • 修繕費・固定資産税などのランニングコスト
  • ローン返済不能による担保不動産の売却リスク

「節税できたけど、現金がなくなって手放す羽目に…」という本末転倒な結果は避けたいところです。

たとえ相続時に税金控除を受けたことで節税できたとしても、その後のこうしたランニングコストによって、自分の資産がかえって減少してしまう、というケースは十分に考えられることです。

つまりは、相続税だけに注目して不動産運用を考えるのは危険である、ということです。

相続対策に限らず、不動産を購入するときは、世帯(家計)の収支や、今後の自分の人生設計、あるいは資産運用の見通しをしっかりたてたうえで、自分の望む安定した生活を送っていけるように計画を組む必要があります。

● 家族間の事前のコミュニケーションを怠らない

相続でよくあるトラブルが「不動産を誰が相続するか」で揉めるケースです。

  • 一つのアパートに兄弟姉妹全員の持ち分がついてしまう
  • 納得感のない分割で家庭内にしこりが残る
  • 「誰が管理するのか?」で責任のなすり合いになる

相続対策として不動産を活用する場合は、事前に家族間で共有・相談しておくことが極めて重要です。

【参考】相続した不動産を売却する手順やかかる税金について解説

アパートやマンション経営での相続税対策における注意点

賃貸として物件運用を行う場合は、注意すべきポイントもあります。
最も注意すべき点は、空室リスクです。

空室がある状況で相続した場合は、そのぶんだけ賃貸割合が下がってしまうため、相続税評価額に対する控除額は減ってしまいます。つまり、満室の場合に比べて相続税が高くついてしまう可能性があります。

加えて、そもそも空室があるということは、物件維持費や固定資産税といった出費があるにもかかわらず、その空室ぶんだけ家賃収入が得られない状態であるということです。
となると、相続税以前に、物件経営者の資産は目減りしてしまうことになります。

不動産の賃貸経営は、多くの人が想定するよりもはるかに手間のかかる事業となります。
そのため時間的コストも大きくかかり、そのあたりを織り込まずに賃貸経営を始めてしまうと、不利益のほうが大きくなってしまうことも考えられます。
アパートやマンション経営による相続税減額を考える場合は、よく見通しを付けてからのほうがよいでしょう。

成功例・失敗例から学ぶ具体的な不動産×相続対策

ここでは、実際にあった「成功事例」と「失敗事例」をもとに、不動産を活用した相続税対策の現実的な効果と注意点を整理します。

成功事例①:亡くなる10年前にアパートを建てたケース

背景:
都内に築30年の戸建住宅を所有していた70代男性。老後に備え、相続対策も兼ねて土地を活用し、アパートを建築。長男と同居していた。

対策内容:

  • 自宅を解体し、木造2階建ての賃貸アパートに建て替え(全6戸)
  • 約8,000万円の借入を利用し建築
  • 生前に配偶者・子との共有名義に変更
  • 自分自身は1階に居住(兼用物件)

節税効果:

  • 建物は「貸家」として30%評価減
  • 土地は「貸付事業用宅地」として50%評価減(200㎡以下)
  • 借入残債:2,000万円を債務控除
  • 結果として、相続税評価額を約3,000万円圧縮

ポイント:

  • 生前から計画的に動いていたため、「節税目的」として否認される要素がなかった
  • 賃貸経営も黒字で、相続後の家賃収入が相続人の生活資金にも貢献

成功事例②:二世帯住宅+小規模宅地特例を活用

背景:
両親が高齢化し、息子夫婦と二世帯住宅を新築。土地面積300㎡。子供は相続人1人。

対策内容:

  • 生前に二世帯住宅を建築(登記は共有名義)
  • 相続開始時、子が同居しており生計も同一

節税効果:

  • 居住用宅地として「小規模宅地等の特例」適用(最大80%減額)
  • 約4,000万円の土地評価額 → 実質800万円へ

ポイント:

  • 「完全分離型」ではなく「内部通路あり型」で同居判定が明確
  • 曖昧な所有構成や用途がなく、要件クリアが容易だった

失敗事例①:節税目的が露骨すぎて特例適用を否認されたケース

背景:
90歳の女性が、急きょ1棟アパートを現金一括購入。購入の際、金融機関に「相続税対策」と記載。

問題点:

  • 実際には1年も経たずに相続が発生
  • 自ら居住せず、建物管理も他者任せ
  • 金融機関の資料に「節税目的」と明記されていた

結果:

  • 税務署から「節税目的の形式的購入」として小規模宅地特例の適用を否認
  • 約2,000万円以上の相続税を追加で納税

ポイント:

  • 「本人が実質的に関与していない」「高齢・短期間」「書類に目的明記」などが重なったことが否認の決め手に
  • 書類上の記述は非常に重要

失敗事例②:賃貸物件を持っていたが空室続きで評価減が受けられず

背景:
郊外にワンルームアパートを所有。築30年以上、空室率60%超。

問題点:

  • 相続時点で賃貸割合が40%未満
  • 借家権割合による評価減が限定的
  • 築古のため維持コストが増大していた

結果:

  • 思ったほど評価減がされず、想定外の相続税額に
  • さらに売却しようにも買い手がつかず「塩漬け物件」となった

ポイント:

  • 「賃貸していれば節税できる」は誤解。空室率・立地・築年数なども重要
  • 節税対策は“収益性と継続性”を伴って初めて効果を発揮する

ケーススタディからの教訓まとめ

学びのポイント成功の要因・失敗の回避策
節税は「実態重視」書類・経緯・意思表示が整合していること
長期的視点での準備少なくとも数年単位での計画が安全
空室リスクは節税効果を打ち消す稼働率・立地選定が重要
曖昧な共有はトラブルの元所有構成は明確に、意思疎通は丁寧に

専門家に相談すべきタイミングとは

不動産を活用した相続税対策は、大きな節税効果をもたらす一方で、判断を誤ると数百万円単位の損失につながるリスクもあります。そのため、**「いつ、誰に、どのように相談するか」**は非常に重要なポイントです。

● こんなときはすぐに専門家へ相談を

以下に該当する場合は、早めに税理士や不動産のプロに相談するのがおすすめです。

状況相談すべき理由
高額な土地・建物を所有している相続財産が基礎控除を超える可能性がある
自宅や賃貸物件を複数持っている評価方法や特例の適用可否を確認する必要がある
老後資金と節税のバランスに不安があるライフプランに応じた資産構成の見直しが必要
将来の相続人と共有する予定分割トラブルを避けるための対策が必要

相談すべき相手は?

  • 税理士(できれば相続専門)
     → 特例適用の判断、税務否認の回避策のアドバイス
  • 不動産会社(地域に強く相続に詳しい)
     → 賃貸経営の見通しや、土地の売却・活用の可能性を見極める
  • 司法書士や弁護士(遺言・遺産分割調整の場面で)

● 相談のベストタイミングは「生前の元気なうち」

多くの方が「相続が起きてから考えよう」と思いがちですが、それでは手遅れになることも多々あります。小規模宅地等の特例や借入控除など、“事前の準備が前提”の制度が多いのです。

  • アパート建築も、完成後しばらく稼働していないと評価減が弱まる
  • 二世帯住宅の同居実績も「継続性」が判断基準となる

後悔しないためにも、できるだけ早い段階で専門家と話を始めておくことが、最大の節税策といえるでしょう。

まとめ:不動産を使った相続税対策は“早く・賢く・実行的に”

不動産は、相続税対策として非常に優れた手段のひとつです。

  • 時価よりも低い「評価額」で評価されやすい
  • 小規模宅地等の特例や借入金控除により節税効果が大きい
  • 賃貸運用と組み合わせることで節税と収益化が同時に可能

一方で、不動産は高額資産であるだけに、「間違った買い方・持ち方・渡し方」をしてしまうと、大きな負担や争いを生むこともあります。

本記事でご紹介したように、正しい知識と段取りがあれば、不動産は「残す側」にとっても「受け取る側」にとっても強力な味方になります。

まずは自分と家族の資産状況や相続人構成を見直すことから始めてみてください。そして、必要に応じて信頼できる専門家と一緒に「我が家に合った相続設計」を描いていきましょう。

▶ 不動産の相続・売却・活用についてご相談ください

株式会社フジハウジングでは、不動産相続に強いスタッフが売却・賃貸・節税設計まで一貫してサポートいたします。地元久喜市での実績と、相続の専門知識に基づいた提案を行っています。

実際に不動産相続の予定、あるいは相続が発生した方は、ぜひお気軽にご相談ください。

関連記事