2019年9月に完工した平成国際大学陸上競技部の寮。
今回は平成国際大学 陸上競技部 駅伝監督 神山 雄司さんにお話を伺います。(平成国際大学は加須市にありますので、今回は〈久喜のヒト-特別版-〉となります)
フジハウジングとの出会い
柔道部さんが平成国際大学OBでもあるフジハウジング青木さんに学生のアパート探しをお願いしていて、その関係でご相談させていただきました。
新しい寮を設立に至った経緯
新しい寮を作るまでの背景を教えていただけますか。
「もともと大学が作った寮が市内にあったんです。でも大学から10キロ以上も離れていて非常に不便でした。20年以上その寮を使っていましたが、老朽化も進み、学生にとっても不便で練習の妨げになっているということで大学の近くに寮を新設しようということになり、フジハウジングに相談させていただいた形です。」
確かに10キロも離れていると移動だけで大変ですもんね。
「実際、送り迎えをする必要があったので、学生にとっても私たちにとっても負担が大きかったですからね」
寮を新設するにあたってこだわりは?
「とにかく大学の近くに寮がほしいっていうことと、陸上競技は朝早くて夜早く寝るんですよね。朝起きるのも早いし、寝るのも早いので周りにご迷惑がかからなくて、繁華街などがない静かに過ごせる所っていう条件をはじめ、色々相談しながら決めていきました。」
実際に新しい寮になって学生たちの様子はいかがですか?
「今の4年生たちは、前の寮を経験しているので『とにかく近いのが本当に楽』と言っていますね。新しい施設になったことで学生たちは非常に喜んでくれています。とてもありがたいですね。」
寮の環境が変わったことで、練習や成績への影響もありましたか?
「そうですね。移動のストレスがなくなった分、練習に集中できるようになりました。この3年間で結果も上がってきているので、寮の環境改善が良い結果に繋がっていると感じています。」
陸上部全体の人数や寮生の人数についても教えてください。
「陸上部全体では140人いますが、駅伝としては60人ほどで、中長距離の選手たちがメインで寮に入っています。」
やはり、先生自身も陸上競技を経験されていたのでしょうか?
「私は平成国際大学のOBで、長距離をやっていました。」
ということは前の寮に住まわれていた?
「私が大学3年のときにそこの寮ができて、2年間学生として住んでいて、卒業の2年後にスタッフとして戻ってきたって感じです。」
先生も前の寮から走って学校に通われていたんですか?
「実際走ってはいないです(笑) 自転車か車で通っていました。さすがに十何キロ走ってきて、こっちで練習して、また十何キロ走って帰るのは練習どころじゃないですね。部活に差し支えちゃいます。練習後に帰るとしても、はあはあしちゃって辿り着けないですね。」
指導者を目指したきっかけは?
「元々、在学中の最後の方に学生コーチみたいな形で人に教えることはしていて、それによって、後輩が伸びたりしたときの喜びは学生の時から感じていました。そこでやりがいを感じていましたが、一度外の世界も勉強するために社会人として生活している中で声をかけていただきました。」
寮や指導で特に大切にされていることは何でしょうか?
「結局、陸上競技は普段の生活が重要なので、どういう練習するかっていうのは当然大事なんですけど、体調良くスタートラインに立てるかどうかで変わっちゃうので、やはり『準備』が大切ですね。陸上は練習の前にどういう準備をしてるか、つまり、生活がしっかりしていないとパフォーマンス悪化に繋がってしまいます。だからこそ生活基盤としてちゃんとした寮が近くにあるということ、練習に集中できる環境を作ることが、選手の結果に繋がると考えています。当然練習指導も行いますが、その前の段階で体調が悪かったり、しっかり準備ができていないと走れないです。」
「衣食住が整って初めて走れる競技なので。睡眠があって、食べるものがあって、準備ができて、気持ちが乗っかって初めて成り立つ競技なので、準備と気持ちがないとできないですね。」
競技の魅力とは?
「楽しさは苦しさの先にあるので、苦しさを乗り越えてタイムを出したり、何十人でレースする中で勝った快感。いいレースが出来て、いままで練習でやってきたことが正解だったと証明される瞬間。駅伝などの団体種目は一人一人の準備がチームを勝たせることになり、敗者とヒーローがはっきりする種目なので、高タイムまでの1秒とかコンマ何秒にどれくらい準備したかっていう普段の生活があって。日々意識して過ごしているからこそ、自分自身に負けたくないという意地も出てきますね。楽しさにたどり着くまでにストレスのある競技なので、そういった気持ちの部分をすごく大事にしています。」
「この競技、高校時の実績があんまり関係ないって言ったら、ちょっとおおげさですけど、今年一番早くなった子も学年の中で一番陸上歴が浅い子なんですね。その子が唯一今年実業団というかプロにいったり、今の3年生の子も一番遅かった子が今一番上にいたりとかってことがあるんで4年間コツコツやって真摯に生活していた人が上にいくんだって改めて思うので、そういう子たちが出るたびにやりがいがあるなって。そこを毎年楽しみにやらせていただいています(笑)」
卒業生や現役の学生に向けてメッセージ
最後に、卒業生や現役の学生に向けて何かメッセージがあればお願いします。
「社会人になって競技を続ける子は少ないですが、陸上を通じて培った自己管理やコミュニケーション能力を社会人生活に活かしてほしいですね。そして、自ら行動を起こして、どんな環境でもしっかりと役割を果たせる人間になってほしいです。それが陸上を通して伝えたい一番のメッセージです。」